すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

子らのかく「柿食えば」の句に擽られ

2014年10月10日 | 雑記帳
 俳句本のとき少し書いたが、発表会に合わせ校内俳句コンテストが企画され、各学年で取り組まれた。一年生には難しいだろうと思いつつ、五七調に親しむ一つの機会であるので、どんな作品が出てくるものか、非常に楽しみにしていた。発表会前、一年生の廊下に貼り出された作品は読み応え?があった。


 ある学級では例示として「柿食えば」の句を出したという。
 当然ながら、その上五を使った作品が出てくる。

 かきくえば かめばかむほど おいしいよ

 かきくえば かきのうまさが わかるよね

 かきくえば おいしさひろがる くちのなか



 五七五にまとめただけでもりっぱなものだ。
 次は「かき」を別のものに替えるバージョンが登場する。

 いもくえば ほっぺたおちるよ そのように


 「そのように」とは何?と思わせるが、リズムは合っている。
 しかしそれは「いも」という二音がうまくはまったからであり、他はリズムをくずす。

 やきいもくえば みんなのほっぺが おっこちる
 
 やきいもくえば からだが ぽっかぽか

 ぶどうくえば みんなのほっぺが おちる

 りんごくえば みんなのくちいっぱい ひろがるよ



 かなり破調だが、それでもどこか合わせようとがんばっているようにも思う。
 もちろん「くえば」から脱出した子どもたちも、それなりに作っていた。
 
 あかとんぼ ながいところに とまるよね

 かえではね きれいないろだ きいろだよ



 担任による学級選出には選ばれなかったようだが、個人的に「ううむ」とうなってしまったのは、次の句である。

 かきくえば どんどんどんどん ふえてくる


 いったい何が増えてくるというのか。これは想像をかきたてられる。
 大人の感覚で「おいしいので食べ過ぎるから体重かな」と言う人もいたが、それは夢がない。

 柿を食べていたら、一緒に食べる家族や仲間が増えている、というのはどうだろう。
 または、柿を食べることによって「秋」という感覚が沁みわたり、心が満たされていく…なんてのも素敵だ。

 と一人で想像していたら、担任によると「作者」は「柿のむいた皮がふえてくる」という情景をうたったそうである。

 なるほど。「柿の存在の自在さ」を見つめたか(笑)。