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運命を引きうけると決めた人

2014年10月18日 | 雑記帳
 隣市のワーク・ライフ・バランス講演会講師は佐々木常夫氏
 東レ経営研究所の社長である。

 ビジネス雑誌で読んだのが最初だと思う。自閉症,うつ病といった困難を抱えた家族と共に過ごした手記『ビッグツリー』という著書も読んだ記憶はあるが,記録が残っていないのが不思議だ。
 「生声」を聴いてみたいと思い,出かけてみた。

 今年の冬に二本の足を骨折し,リハビリ中ということで,椅子に腰かけたまま,少しトーンの低い感じでスタートした話は,中盤から結構熱気あふれる口調になり,惹きこまれる感じをうけた。

 ライフ・ワーク・バランスというテーマそのものより,仕事術やリーダー論に興味があった。そしたら案の定,そこが中心となり,刺激的な言葉がいくつも並んだ。

 仕事の効率化の両輪は,コミュニケーションと信頼関係


 無駄を省くことはよく強調されることだが,そこには基準,もっというと思想が必要であることを痛感した。
 例えば,佐々木氏は部下との面談を年2回行った(会社としては年1回)。それは2時間,初めに家庭や個人のことについて聞き,そして仕事のことに移っていくという。
 その設定やプロセスに込められている信念こそが,部下のモチベーションを上げていくのだろう。


 リーダーは,プレイングマネージャーになるな

 「組織の成果」と「部下の成長」こそが目的であり,自分が動くことによってのプラスマイナスはシビアに考えねばならない。なんとも耳の痛い一言であった。
 しかし後の質疑応答で,氏自身が「動きたい」という欲求をなかなか抑えられないことなどを聞き,現実的な受け止め方ができそうだとも思った。

 最後の締めくくりで「自分の人生観の真ん中にある」と出されたのは次の一言だった。

 運命を引きうけよう


 家族が大変な時は,自分の体調管理に万全を期していた氏が,少し平穏さが見られるようになったからか,不意のアクシデントで骨折し人生初の入院となったという。
 しかしその結果,入院がきっかけとなって,家族に嬉しい出来事が舞い込んだということも,質疑の中で明らかにしてくれた。

 終了後,サイン入りのポケットブックスを2冊購入した。それらの収益は全て社会支援として寄付するのだという。

 運命を引きうけると決めた人は,どこまでも前向きだ。