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辞典は一粒万倍

2014年10月27日 | 雑記帳
 書棚を整理していたら『四字熟語の辞典』(三省堂)が出てきた。自分が買った覚えはない。まだ真新しいではないか。カバーをとってみると,娘の中学の卒業記念の刻印が押してある。なるほど,使われた形跡が薄いのは残念だが,じゃあ私が頂こう。何気なく手に入れたものが「飛耳長目」の機になるかもしれない。


 どれどれ,最近気になった四字熟語などを引いてみよう。いつか山中伸之先生が書かれていた「優勝」の語源,つまり「優勝劣敗」から見てみようか。「強者・適格者が栄え,弱者・不適格者が滅びる」という何とも現実的なお言葉だ。類語として「自然淘汰」「適者生存」が挙げられている。いわば人生訓の一つである。


 いつか書いた気がするが「経世済民」をもう一度確かめてみよう。ご存じ「経済」のもとになった熟語。「世を治め,民の苦しみを救う。またはそのような立派な政治」。経済優先の政治とは,実はそういうことなのだが,本当に「民」に届いているかと言えば,ご承知のとおり。施政者たちが何を見ているかということ。


 辞典を見て改めて思うのは「一」のつく熟語の多さ。「一意専心」から「一片氷心」まで数としては90あまり。「一」という指事漢字が表す広さや深さ…「ひとつ」であり「はじめ」であり「わずか」であり「すべて」であり…。捉え方によって「千変万化」いや「千姿万態」か。それとも「一粒万倍」と言うべきか。