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「ひとり」の哲学に近づく

2015年01月08日 | 雑記帳
 雨模様の日もあったので、雪の重みが心配だったのだと思う。年末には、例年以上に雪下ろし中の事故が相次いだ。年が明けてからは火事による死者も目立つ。それもほとんどが高齢者。近隣の市町村ゆえに気にかかり,これも地方における悲劇の一つの象徴に思えた。一人暮らしの老人世帯に可能性の高くなる災害。


 都市部にも独居老人はおり、自然の厳しさとはまた別の様相を見せている場合もあるだろう。いずれ「ひとり暮らし」の問題はきちんと向き合っていかなければならない。そういえば…と年末の新聞記事を思い出す。「識者コラム・言論」というコーナーで、山折哲雄氏が「今、『ひとり』の哲学を」と題して書いていた。


 津波の被災地の風景や総選挙結果の話題と重ねて、二人の名優(高倉健、菅原文太)の死を悼む。そして「貧乏の知恵」と題して綴っている。人口減少、高齢化による「『ひとり暮らし』の波」が押し寄せるなかで、悲観的なことだけが語られている現状をこう指摘している。

 ◇ひと踏ん張りして「ひとり」で生きる知恵、「ひとり」で生きる暮らしの大切さを強調する声が聞こえてこない。「ひとり」の哲学を説く人間がどこからも現れてこない。


 そういう哲学や信条の持ち主は、もしかしたら嫌われているのかもしれない…そんな状況に社会が陥っている。いや、日本社会はずっと以前からそういった方向だったのではないか…と思いつつ、やはり「ひとり」で生きる意志に象徴される強靭さのようなものが、年々失われていっている現実は認めざるをえないだろう。

 これはひょっとしたら生物としての危機ではないか、などという大袈裟なことまで考えている。
 山折氏が掲げている「貧乏暮らしの知恵」は、次の三つ。

 ◇「出前精神」 ◇「手作り」 ◇「身銭を切る」

 我が身に照らし合わせれば、なんと年々貧弱になっていくことばかり。
 そして確実に老いは進行している。始められるところから実行なければと思う。