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こだわって,鬼になろうか

2015年01月06日 | 雑記帳
 昨日の講演会で、講師が「ビールはキリンでなけりゃ飲まない、なんてこだわりを言う人も、ちょっと危険ですよねえ」とユーモア半分で話したら、隣にすわった知人が私を見てニヤリとする。私の口癖は「Aビールのス―○―ドラ○は飲まない」であり該当しないと思いつつ、「こだわる」という語が妙に引っ掛かる。


 「こだわる」…広辞苑によると、古語的な意味を除けば次の二つ。「些細なことにとらわれる。拘泥する」「些細な点にまで気を配る。思い入れする」。マイナス面、プラス面の双方の意味がある。明鏡国語辞典では、後者に「新しい言い方で」という前提がある。「こだわりの~~」という商品等によくある価値づけだ。


 児童用の辞書ではどうか。「あることを特に気にする」(チャレンジ小学国語辞典)「気にしなくてもよいようなことをいつまでも気にする」(学習国語辞典)。手元にある二つはマイナス評価だけだ。類語大辞典を調べる。これはバリエーションが広い。動詞の類47、形容詞16、形容動詞42、副詞15、名詞、他28である。


 動詞だけみても9つに意味区分されている。「こだわる」を筆頭に「執着する」「固守する」「貫く」「徹する」「通す」「意地を張る」「強がる」「粘る」。もちろん類語なので、似たような言葉となるが、そのニュアンスの違いは豊かさでもあろう。名詞類の最後に載っている言葉は「鬼」。こだわりもそこまでいければねえ。


 ちなみに語源辞典を調べてみると…「こだわる」の「コは接頭語」、「タワル」は二説あり「サワル」「タワム」。著者は「タワム」説を有力とみている。つまりまっすぐでないということ。まわり道とか寄り道のイメージだろうか。そんなことばかりしていると、届かなかったり遅れたりするという意味なんだろうね。


 けれど、今の世の中、「まっすぐな道」と言われても、それ自体が怪しかったりすることもある(まあ、そう考えること自体に、こだわりがあるということか)。ビールの銘柄のような些細なことから、国の行く末を決める大事なことまで、まっすぐだけでいいのか。たわんでしまったら、鬼と言われて排除されるのも困る。