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タンマって言っただろ

2015年01月14日 | 雑記帳
 懐かしいなあ、使わなくなってから何十年経つのだろうと思った言葉があった。「たんま」。ちょっと待って、という意味である。遊びのときが中心だったが、友達同士であれば、いろいろな場で使われていたような気がする。ちなみに広辞苑では「(児童語)遊戯の中断。タイム」と記されている。他辞典に見出しはない。


 ちょっと変なことばである。検索してみると、語源についての諸説があってなかなか面白い。質問箱のベストアンサーが体操競技由来(使われる滑り止めの名称から)となっているが、それ以外の英語の「Time」の訛り、「待った」という言葉をひっくり返した隠語的な使用などの方が納得いくような気がするなあ。


 それにしても何ゆえ死語化してしまったか。思いつくままに書き出してみると、まず「子ども同士の遊びの変化」があるだろう。テレビゲームなどが代表的であり、相互のコミュニケーションがあまりない内容へ変わったからではないか。また、中断を簡単に許さない世相?さらに隠語的ものの広がりにくさがあるか。


 愛用の「類語辞典」を開くと、「たんま」は「遮る」という動詞の仲間である。小区分は「その他」であり、ここには四つある。「どっこい」「待った」「タイム」「たんま」である。「どっこい」はへえぇぇである。そういえば「おっと、どっこい~~」がある。そう考えると、調子のよい言葉遣いの衰退も目立ってきている。


 「たんま」は一つのルールだった気がする。そこまでいかなくともみんな共通理解していたことだった。「寛容」という言葉の意味を知らなくとも、多少は待ってやる世間がそこにあったことだろう。遊びは何度も繰り返され、一人勝ちなどはほんとに珍しいことだった。「たんま」ができる場がもっと大事にされていい。