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ヨセルとマンシウコクと

2015年08月29日 | 読書
 「9+4ハ イクツ デスカ」という問いのあと、「9ニ ナニヲ ヨセルト 10ニ ナリマスカ」「4ハ 1ト ナニヲ ヨセタ モノデスカ」とある。「ヨセル」が「足す」であると想像できるが、こういう言葉を使っていたとは知らなかった。数学専攻であれば周知のことかもしれない。「寄せ算」と呼んでいたらしい。



 広辞苑や他の辞書にもあった。そもそも「寄せる」の意味のなかに「一カ所に集める・呼び集める」があり、そこから「加える」になったことは十分予想される。「9ト □デ 10 , 2ハ 1ト□」を答えさせてから「9+2」という筆算が出てくる流れだが、意図はわかるがちょっと強引な感じもする並びだ。



 低学年なので絵も多くある。写真が1ページだけ使ってあり「水筒」と「コップ」が写されている。量の学習であり「何杯分」と問いかけがされている。面白いのは(7)「水ノ イッパイ ハイッタ コップガ アリマス。モウ ツ ジヤウナコップヲ ッテ テ コノ ヲ ツノコップニ ハンブンヅツニ ワケナサイ


 それ以上の記述はないので、その後どうするかは考えどころだ。しかし水のような連続量を「半分にする」という作業自体は、シンプルだが非常に大事な活動のように思う。そうした体験が「測る、計る、量る」ことに結び付くのは当然だ。機械化、デジタル化が進むことはそういう感覚を得る場が減っていることだ。


 さて、昭和19年という時代を考えさせる言葉がいくつか本の中にある。「テンチャウセツ」から日の丸の数、図形には「マンシウコク」の旗が出てくる。お宮で「石ヲ 並ベル」労力奉仕?が出てくる。この教科書で学んだ方々は今80歳ということになる。中身は忘れていても、沁みわたっている何かはあるはずだ。