すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

本選び失敗も一興

2017年07月11日 | 読書
 書名や著者が気になって、軽く手に取ってしまうことがある。この頃は新書が多いなあ。
 当然ながら、読み始めて正直「つまらない」と思ったり、なかなか文章が頭に入ってこなかったりする本があるわけで、今回は偶然か2冊続いてしまった。
 まあ、記録として残しておくということで。


2017読了73
 『ぼくは眠れない』(椎名誠  新潮新書)

 不眠症(と言ってもさほど重症ではないようだ)の著者が、自らの経験や「眠り」についての蘊蓄を書いている。『新潮45』での連載がまとめられた一冊である。はっきり言えば「筆に任せて」例の口調で、だらだらと書き散らしている感がある。人気作家とはこんなものでも…と、いい意味悪い意味の両面で感じる。

 前半は不眠症のきっかけになったストーカーまがいの女性の話は面白かったが、睡眠に関する様々な文献などの紹介が入り込んだら、とたんに退屈になった。著者自身も間延びしていることを感じつつ書いているような印象だ。もちろん「不眠症患者」の自分だからこそ手にした。寝床で読むと眠くなったのが救いか。



2017読了74
 『小説の読み方』(平野啓一郎  PHP新書)

 著者の小説は難しくて読めないが、「分人」の考えを打ち出した彼には興味があるので、こんな新書もいいかなと思い手に取ってみた。しかし冒頭の「小説を『四つの質問』から考えてみる」から、もはやあまり頭に入ってこなくなった。ちなみに四つとは、①メカニズム②発達③機能④進化、そんな読み方をしていない。

 綿矢りさ『蹴りたい背中』、伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』など既読の小説も取り上げられているが、その分析を目にしても面白みが深くなるわけではない。唯一納得したのは、「小説」を文字通りに「小さく説く」と解釈したこと。「情報の海を泳ぎ回る」ような時間を過ごすよりは、一冊に浸る価値を優先したい。