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ツワモノの言葉遣い

2017年07月16日 | 読書
 「男は度胸、女は愛敬」…なんと広辞苑には「男女それぞれに必要とされる特性を対句的に言ったことば」と記されている。
 昔の映画じゃないんだから、「以前は」などと付けた方が良いのではないかと思わずツッコミたくなる。

 めったに「度胸」と使わなくなった最近、ある雑誌で久しぶりに目にしたのは…。



Volume61
 「度胸とは、“まずやってみよう”“人とは違うことをしてみよう”という好奇心です」

 手元の電子辞書には国語辞書として「精選版日本国語大辞典」と「広辞苑」、それに「明鏡国語辞典」が入っている。
 その三つとも「度胸」の意味として「物事に動じない心」といった表現を使っている。自分もそんな解釈をしていた。
 大辞典に記されているように「どんな事態にぶつかっても」という、どちらかと言えば対応する印象が強いと受け取っていた。

 この言葉は、家具小売り最大手ニトリ会長似鳥昭雄が語ったことである。
 「度胸=好奇心」とは強引な気もするが、こうした創業者精神あふれる人物にとっては納得できることかもしれない。

 「好奇心」とは調べるまでもなく「珍しい物事への興味」「物好きな心」を指しているだろう。
 それを即実行、実践レベルに落とし込んでいる精神を持つからこそ、起業があり躍進に結びつくのか。


 ちなみに「新明解国語辞典」には、「度胸」はこんな意味が記されている。

 「失敗や他から受ける非難を恐れずに、こうしようと思ったことをためらわずに実行する決断力

 「度胸=決断力」の方が、一般人にはしっくり入る。
 「力」がなくちゃ進んでいかないからだ。

 
 そう考えると、いや、だからこそトップに君臨するお歴々には、自らの行動力の強さを意識せずに、度胸を好奇心という心の持ち方と解釈しているツワモノがいるんだろうと思う。

 言葉を自分なりに解釈し表現できるのは、強さの証明でもある。