和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

三日月様と、土佐の女の子。

2020-02-20 | 手紙
引用の孫引きになりますが、
坂本龍馬全集の内容見本に
司馬遼太郎が書いているそうです。

「・・散文家のなかでも吉田松陰は紀行文においてすぐれ、
・・龍馬は書簡という、特定の相手に対する文章において
すぐれているといえるであろう。とくに乙女や姪の春猪に
書き送ったものは、江戸期の人間の感覚というよりも、
近代文学の成立以後の文章感覚のようで、
対人的な形式や文章の規矩準縄から、
生来縁の薄かったかれのような人物に
よってのみ書かれたものであろうかと思える。」

はい。私は龍馬の手紙を読んでいないなあ。
それでも、高知の女の子については、
面白い本で出会っておりました。
あらためて引用したくなりました。
それは、内村鑑三著
「後世への最大遺物 デンマルクの話」(岩波文庫)。
そこに、土佐の女の子が登場しているのでした。
以下その箇所を思いだしたように引用(笑)。

「私は高知から来た一人の下女を持っています。
非常に面白い下女で、私のところに参りましてから、
いろいろの世話をいたします。ある時はほとんど
私の母のように私の世話をしてくれます。

その女が手紙を書くのを側(そば)で見ていますと、
非常な手紙です。筆を横に取って、仮名で、
土佐言葉で書く。・・ずいぶん面白い言葉であります。

仮名で書くのですから、土佐言葉がソックリそのまま
で出てくる。それで彼女は長い手紙を書きます。
実に読むのに骨が折れる。しかしながら
私はいつでもそれを見て喜びます。

彼女は信者でも何でもない。
毎月三日月様になりますと、
私のことろへ参って、

『ドウゾ旦那さまお銭(あし)を六厘』という
『何に使うか』というと、黙っている。

『何でもよいから』という。
やると豆腐を買ってきまして、
三日月様に豆腐を供える。

後で聞いてみると
『旦那さまのために三日月様に
祈っておかぬと運が悪い』と申します。

私は感謝していつでも六厘差し出します。
・・・・私はいつもそれを喜んで供えさせます。

その女が書いてくれる手紙を
私は実に多くの立派な学者先生の
文学を『六合雑誌』などに拝見するよりも
喜んで見まする。・・・」(p47~ )

こちらは、明治22年の講話で語られたものです。
はい。この女の人は、どのくらいの年齢なのでしょう?

土佐の女の子とすると、私はイメージがふくらみます。
うん。高知県の浦戸に育った西原理恵子さんなんて、
いくら年を重ねても、いまだ女の子としておきたい(笑)。

コメント
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