京都国立博物館の図録「海北友松」(平成29年)。
古本で購入したら、チケット半券がはさまってる、
2017年4月11日~5月21日開館120周年記念特別展覧会
と入場券の半券にありました。
さてっと、この図録をパラパラひらいていたら、
寒山拾得の図に、今回は興味を持ちました。
二人して庭らしいところに立っております。
一人は巻紙をひらいて、挙げた左手から下の
右左手までU字形に巻紙が広げられています。
その巻紙を見ながら笑っています。
もう一人は、その人の肩に左手を置いて、
右手は庭箒を支えて、同じく巻紙を見ているようで、
いっしょになって笑っています。
この図録をひらいていると、
二人して巻紙を見ている構図が
しばしば印象的に現れてくるのでした。
そうこうしているうちに思い浮かんだのは、
戦場カメラマン・一ノ瀬泰三の写真でした。
私に思い浮かんだのは、夫婦を撮った写真のようでした。
二人して土間のようなところに座っています。
向って左側に夫が座りながら手紙をひらいて読んでいる。
腕の間に杖でも傾けるように、戦場ライフルのような拳銃を
右肩に立てかけ寛いでいます。妻は隣に座って頬を夫の肩に
近づけながら手紙をのぞき込んでいます。
夫は手紙を読みながら笑ってる。
妻は、殺伐な状況のなかで、切れ切れな感情をどう結びつければ
よいのかもわからないままに、夫の笑いを笑っています。
その手紙は、どうなのでしょう。子からの消息なのだと思えてきます。
うん。ネット検索だと、簡単にこの写真は見れます。
海北友松の寒山拾得の図をみていたら、一ノ瀬泰三のこの写真が
思い浮かびました。そうすると、どうしてもわたしには、
寒山拾得図の巻紙が、手紙なのだと思えてくる。
すると、寒山拾得二人の笑が身近に感じられます。
うん。こういう笑いを思い描いてしまうと、
もう、イヤ味な手紙は書けなくなります(笑)。