ふりむけば、神輿も祇園祭もなかりけり
コロナ禍の年の、秋の夕暮れ。
明日からは、9月ですね。
古本で買ってあった写真集に、
泉本宗悠著「茶花がたり」(淡交社・平成28年)がありました。
古本で700円。新刊で税込み2860円なので、高いやら安いやら、
ちょっと判断に迷いますが、古本でなければ買わなかった一冊。
茶会での茶花の写真集です。
映画をビデオで見るように、
一度だけの茶会の茶花を写真集で見る。
はい。泉本氏の文章も味わえる。
一箇所引用。「長月」の箇所でした。
「・・・毎年9月の中秋の名月の日、
奈良の唐招提寺では、開祖・鑑真和上と共に、
月を愛でる法要・観月讃仏会(かんげつさんぶつえ)が挙行され、
御影堂では裏千家ご宗家の奉仕による献茶式が執り行われます。
堂内に安置されてる鑑真坐像の脇の花瓶には、芒(すすき)や
女郎花(おみなえし)、萩や吾亦紅(われもこう)など秋の花が
入れられ、大広間には東山魁夷画伯が10年以上もの歳月をかけて
和上のために描いた・・・襖絵が堂内を包み込みます。・・・・」
(p115)
右側のp114には、クメール陶器 黒釉壺花入(カンボジア製)
に、底紅木槿・吾亦紅・矢筈芒・女郎花・萩・桔梗・菊葉藤袴
が、すっきりと活けてある茶花の写真。
最後の著者紹介には
泉本宗悠(いずみもとそうゆう)昭和21年(1946)生まれ。
昭和50年裏千家今日庵に入庵。とあります。
「はじめに」は
「『花は野にあるように』
利休七則に挙げられるこの一則は、茶の湯における
花を入れるための指針となるものです。・・」
こうはじまっておりました。
そして、「あとがき」の1ページ前には
「花もなく実もなき枯木いけて見よ
心の花は何かまさらむ 宗旦歌」
とあるのでした。索引を入れて全175頁。
はい。古本で出会えてよかった。