黒田三郎の詩に「あす」があります。
あす 黒田三郎
うかうかしているうちに
一年たち二年たち
部屋中にうずたかい書物を
片づけようと思っているうちに
一年たった
昔大学生だったころ
ダンテをよもうと思った。
それから三十年
ついきのうのことのように
今でもまだそれをあす
よむ気でいる
自分にいまできることが
ほんの少しばかりだとわかっていても
でも そのほんの少しばかりが
少年の夢のように大きく
五十歳をすぎた僕のなかにある
はい。わたしもダンテの神曲は読んでいない。
ということぐらいかなあ、共通点は(笑)。
黒田三郎の年譜をひらく
大正9年(1919)生まれ。
昭和55年(1980)1月8日死去。61歳。
はい。わたしは65歳から年をとっておりませんので、
『少年の夢のように大きく
六十五歳をすぎた僕のなかにある』と年齢を入れかえる。
うん。50歳をすぎても、60歳をすぎても
『少年の夢のように大きく』という少年が住む。
なんてことを何でまた、
夏のお盆のころになって、そんなことを思うのか?
ということで、黒田三郎詩集を本棚へもどす。