神田秀夫氏(1913年~1993年)は、国文学者。
1984年に論稿集全5巻が出ております。
その「全5冊の跋」で、ふりかえっておられます。
そこから引用。
「・・・・己れの活動期を暦年にたとえれば、
上元(正月15日)・中元(7月15日)・下元(10月15日)の、
今ちょうど下元が過ぎるころ。これが商家なら、
中仕切(なかじきり)といって、
盆(中元)と暮との中間決済を、この下元のころにおこない、
払うものは払い、一旦帳簿を〆め、気を持ち直して、
いざ歳暮へと立ち向うところである。
たとえて云うなら、この五冊も、その中仕切である。
これから年末までの活動を、浪費に陥らせないための
中払(なかばらい)である。・・・・」
(「神田秀夫論稿集五」明治書院。p421)
神田秀夫氏の本は今年がはじめてなので、
右も左も、わからないながら惹かれます。
「これから年末までの活動を、
浪費に陥らせないための中払いである。」
こんな、仕切り方があるのだと、
自分の発想の中にはない新鮮さ。
ちなみに、どうして、神田秀夫へと
導かれたのかは、あとで、すっかり忘れるので、
たどりついた、道順を記しておくことにします。
最近になって、向井敏著「本のなかの本」(毎日新聞社)を
読み返していたら、「よみがえる古典の感触」と題して
神田秀夫著「今昔物語」(岩崎書店版「日本古典物語全集」⑧)
が紹介してあり、さっそく古本で購入してみたのでした。
それから、古本検索し、今回の箇所へと辿り着きました。