Voice1月号の対談で
乃木坂46の鈴木絢音(あやね)さんと
金田一秀穂さんが楽しく話しておりました。
鈴木】・・・私も『読書』の時間は少ないほうかもしれません・・
というのも、普段は小説以外にも図鑑に触れる時間が多いので。
説明やイラストが綺麗に整っているのが大好きなんです。
だから私だったら、『読書』の意味を『新明解』よりも
少し広く捉えて図鑑も含めたいです。
金田一】 私も鈴木さんの意見に賛成です。よく、
『あなたの愛読書は何ですか』と聞かれることがありますよね。
正直に言えば、あまり好きではない質問なのですが(笑)、
私が一冊挙げるならば『電車の時刻表』。これも、
『新明解』の語釈では間違いなく『読書』には当たらないでしょう。
それでも、私にすれば日常で繰り返し読むのはやはり時刻表なのです。
このように、突き詰めていけば、言葉の解釈は人それぞれで良いと思います。
(p171)
これは、新明解国語辞典を鈴木さんが持ち歩いている
話から、脱線しながら楽しく語られている箇所でした。
ところで、本の内容はすっかり忘れてしまっても、
ちょっとした箇所を思い浮かべる場合ってあります。
今回この対談を読んでいたら、
そういえば、夢野久作は、百科事典を全部読んだ。
というような、箇所があったような気がしたのでした。
今日になって、本棚を見たのですが、それがどこに
指摘されていたか、分からない。
ほんのちょっとした箇所で触れられていたのだと思います。
あるいは、対談の中で触れられていたのかもしれないなあ。
しかたないけど、ついでなので
鶴見俊輔著「読書のすすめ」(潮出版社・昭和54年)を
本棚からとりだしてくる。その本の最後に、
「子供の眼」と題して話された講演でしょうか。
それが載っております。
そのなかにも、夢野久作が登場しておりました。
「この夢野久作という人物は、つねに自分の息子に、
学校の先生とちがうことを教えたんで、息子としてたいへん
困ったんです。その長男の杉山竜丸の思い出によりますと、
これは西原和海の『夢野久作の世界』という本の中に
書いてあるんですけれども、私は学校で学ぶことと、
夢野久作ーおやじですねーの話があまりかけはなれているので
非常に興味があったという。
ある時、中学校の漢文で『大学』を学んだ時、
大学の道は民に親しむにあり、と朗読してた。
(昔は漢文の素読というものなんか、漢文を大きな声出して
読むわけですよ。この声がきこえたんですね。おやじに。)
そうしたらば、書斎からおやじが飛び出してきて、
馬鹿野郎、民に親しむと読むやつがあるか、
それは、民を親にす、か、または、民を本にす、とか読むんだ、
と叱られて私は呆気にとられたことがある。
今日ようやくその意味がわかるようになったが、
その時はまったく閉口したとある。・・・」
(p222~223)
うん。夢野久作が、百科事典を読破したことは、
どこに書いてあったのか、解らず仕舞いでした。