乃木坂46イチの読書家が、鈴木絢音(あやね)さん
なのだそうです。
昨日の寝床本は、Voice1月号でした。
そこの、鈴木絢音・金田一秀穂の対談が面白かった。
そこから、引用してみることに
金田一】 ・・・国語辞典を読むのがお好きなようですね。私も
多くの辞典の編纂に携わってきたものですから、嬉しく思いました。
乃木坂の活動ではいろいろな現場に行くと思いますが、
いつも分厚い紙の辞書を持ち運んでいるのですか?
鈴木】 はい、普段から鞄のなかに入れています。
金田一】 それは凄い。あくまで、電子ではなくて紙なんですね。
鈴木】 中学時代は電子辞書も使っていたんです。
でも、高校にあがるタイミングで(故郷の)秋田から
上京することになり、その電子辞書を兄にあげてからは、
紙の辞書を何冊かもつようになりました。
金田一】 へぇー、いまどき珍しいですね。
私が大学で教えている学生たちは、ほとんどがスマホ。
電子辞典ですら、あまり使われていないんじゃないかな。
鈴木】 辞書を入れているせいか、
私の鞄はアイドルらしからぬ大きさなんです。
乃木坂のメンバーからはメリー・ポピンズ
(ディズニー映画『メリー・ポピンズ』の主人公。
いつも大きな鞄を持ち運んでいる)
みたいって、よく言われます。 (p169)
はい。興味を示された方のために、つづけて
もうすこし、引用することに
金田一】 ・・・・数多(あまた)ある辞書のなかでも、
とくに『新明解国語辞典 第七版』(三省堂)が
お気に入りのようですね。
鈴木】 そうなんです。辞書って、
昔の私もそう考えていたのですが、
客観的な語釈が書かれているイメージだと思うんですね。
でも、『新明解』はまったく違いました。
多くの単語に主観的な説明が添えられています。
読めば読むほど面白くて、惹かれていきました。
・・・たとえば『新明解』で、『蛤』を引くと、
『遠浅の海にすむ二枚貝の一種。食べる貝として、
最も普通で、おいしい。殻はなめらか』と出てきます。
『普通』とか『おいしい』という説明は、人によって
解釈が分かれるはず。そんな言葉が語釈で使われているとは、
『新明解』を手にとるまでは思いもしませんでした。
金田一】 いま鈴木さんが例に挙げた『蛤』のような語釈は、
辞書をつくる側の世界では『プロトタイプ(典型的な基本形)』
と呼ばれます。貝のなかでも最も一般的なものはなにかと考えて、
当時の編纂者は蛤を思い浮かべたのでしょう。(p170)
はい。このあとからも、いろいろと考えさせられる指摘が
出てくるのですが、このくらいでやめておくのもありかな(笑)。
ところで、何年ぶり、何十年ぶり?
本棚から、新明解国語辞典を出してくる。
机上版で、第四版となっております。
「はまぐり」を、引いてみます。
はまぐり「蛤」
[浜栗の意]遠浅の海にすむ二枚貝の一種。
食べる貝として、最も普通で、おいしい。
殻はなめらか。
とあります。うん。この場合、
第七版じゃなくても古い版でもいいようです。