和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

とても豊かな感じがする。

2022-12-30 | 先達たち
雑誌で、印象深い対談があったりします。
うん。雑誌は、すぐに忘れてしまいがち。

季刊『本とコンピュータ』1999年冬号。
ここに、鶴見俊輔と多田道太郎の対談
『 カードシステム事始 廃墟の共同研究 』が載ってる。

対談のはじまりには、二人して夜道を歩いている写真。
鶴見さんが笑っています。多田さんが少し後ろから、
まあまあというように鶴見さんの二の腕を押さえています。

対談は、1949年(昭和24年)の桑原武夫さんが中心となった、
共同研究が語られてゆきます。

ちゃんと、カードシステムについてふれながらの対談なのでした。
うん。二箇所引用。

「 皆の論文が集まってきたときに、桑原さんが
 
  『 いまとても豊かな感じがする 』

  と言ったのを覚えてるね。そういうものが
  共同研究の気分なんですよ。カードを共有する
  という発想もそこから生まれたんです。   」( p202 )


それから、対談の最後も引用しなくちゃ。

「 それとね、私たちの共同研究には、
  コーヒー一杯で何時間も雑談できるような
  自由な感覚がありました。

  桑原さんも若い人たちと一緒にいて、
  一日中でも話している。

  アイデアが飛び交っていって、
  その場でアイデアが伸びてくるんだよ。

  ああいう気分をつくれる人がおもしろいんだな。

  梅棹さんもね、『思想の科学』に書いてくれた
  原稿をもらうときに、京大前の進々堂という
  コーヒー屋で雑談するんです。

  原稿料なんてわずかなものです。私は

  『 おもしろい、おもしろい 』

  って聞いてるから、それだけが彼の報酬なんだよ。
  何時間も機嫌よく話してるんだ。(笑)

  雑談の中でアイデアが飛び交い、
  互いにやり取りすることで、その
  アイデアが伸びていったんです。・・   」 ( p207 )


はい。2023年になって、

  『 おもしろい、おもしろい 』

  『 いまとても豊かな感じがする 』

なんてセリフが飛び出し、伸びてゆきますように。
  


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