カルチャーの語源は『耕す』だと教わったことがありました。
井波律子著「書物の愉しみ」(岩波書店・2019年)を
パラパラとめくっていたら
堀田百合子著「ただの文士 父、堀田善衛のこと」(岩浪書店)の
書評がのっていました。
そこから引用。
「堀田善衛は『 原稿を書くということは、
原稿用紙の升目に一文字ずつ田植えをしているようなものだ 』
と言いながら、深夜、トントン、トントントンと万年筆の
音を響かせて、ひたすら原稿を書き綴っていたという。
そんな父の姿を幼いころから見てきた著者が、
ときにユーモアをまじえつつ描く素顔の堀田善衛は、
著者自身『 文句言いでもなく、気難しいわけでもなく、
コツさえつかめば扱いやすい家庭人です 』と、
娘ならではの率直さで述べているように、
迫力あふれる著作とはうらはらに、ノホホンとした風情があり
・・・ 」(p515)
うん。それならと古本で安くなっていそうなので注文することに。
ちなみに、この書評で井波律子さんは、もう一度『田植え』を出してきます。
「 いかなる大作、大長編も、田植えをするように
一字一字、原稿用紙を埋めてゆく日々の積み重ね
からしか生まれない。
本書の著者は、いつどこにいても、倦まずたゆまず、
原稿用紙に向かいつづけた父、堀田善衛の姿を・・・
・・・思いをこめて記している。 」(p517)
はい。この頃、ブログ更新を怠っているせいか、
こういう言葉に、つい目が止まります。
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