おやじのつぶやき

おやじの日々の暮らしぶりや世の中の見聞きしたことへの思い

読書18「文学2009」(日本文芸家協会編)講談社

2009-08-24 23:50:13 | つぶやき
 先だって、「芥川賞」「直木賞」が発表され、文藝春秋には芥川賞の作品が全文掲載されていました。商業出版的には、どれほどの売り上げがあるのか、定かではありませんが、話題性など、マスコミが発表の時に取り上げるくらいで、巷の話題にはならないような気がします。
 文学の衰退、特に純文学・小説の衰退、読者離れが言われてもうどれくらい経つでしょうか。純文学と大衆文学との境目論争などが文壇を賑わしてからも・・・。
 庄野頼子さんが「純文学論争」を仕掛けていた頃は、今思うとまだまだ牧歌的で懐かしい感じがします。(庄野さんのこだわりはすごい?ものがありますが)
 さて、「文学○○年」は、主として純文学と称される短編小説のアンソロジーです。毎年、その年の前年の注目を引く作品を集めています。毎年のように読んでいると、登場する作家には、あまり読んだことのない人もいますが、ベテランの作家達も目立ちます。
 ここ何年かのテーマというか、内容は「老いと死」。こうした内容が、若い人などの読者層離れを招いているのかもしれません。
 ここでも、作家自身の年齢も、1922年生まれの瀬戸内寂聴さんから1983年生まれの青山七恵さんまで幅広い年齢の作家が収録されています。けれども、大きく括って言えば、やはり同じようなテーマ(作家としての問題意識)と言えるでしょう。
 中沢けいさんが解説でも述べているように、「死は身の内から滲み出してくるというときの身という言葉は、ただの肉体や身体のことを言っているものではなく、遠回しに自分と世界との関係を物語ろうとしているように、言葉でしか表現できないものがそこにある」と思います。
 言葉から紡ぎ出される文学の世界(あまりにも軽率でいいかげんな言葉遣いが受けている世の中にあって)の「復権」を求めていく(求められている)ことの大事さを改めて感じました。
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