おやじのつぶやき

おやじの日々の暮らしぶりや世の中の見聞きしたことへの思い

読書20「本格ミステリ09」(本格ミステリ作家クラブ編)講談社ノベルス

2009-08-26 19:15:40 | つぶやき
 今度は、ちょっと趣をかえて。クーラーのよくきいた、夏の午後、自分の部屋の畳の上で、ごろりと横になりながら読んだ本。途中気がついたらぽろりと手から離れて、いつしか午睡になってしまいましたが。実は、けっこう「ミステリ」好きでして、かといって濃い内容のものは苦手でして。
 以前は、よく松本清張は、ずいぶんと読みました。今でも家のどこかに段ボールにしまわれて全集であるはずですが。
「ミステリ」といういい方にはどうも?推理小説といういい方とか、社会派といういい方とかそういほうがなじみが深かったものです。
 このアンソロジーは、昨年に発表された本格的なミステリ作品をセレクトして編集されたものです。「本格ミステリ作家クラブ」が選んでいますので、ある種のオーソリティがあるようです。今年で9回目とのこと。たしかに短編ながら読み応えのある作品が目立ちます。
 法月綸太郎、小林泰三、有栖川有栖、柄刀一など常連?に混じって三津田新三、沢村浩輔なども取り上げられている。私自身も初めて読んだ。
 中でも、私的には、千野帽子の「評論」がとても面白かった。ポーの「モルグ街の殺人」(1841年)がミステリの歴史では元祖と称せられる作品。しかし先行する作品として、バルザックの「コルネリウス卿」(1831年)、メリメの「イールのヴィーナス」(1837年)を作品を紹介しながら、小説という大きな枠組みにあきたらず、ジャンルという型にこだわること(特に読者や評論家が)によって、かえって小説のおもしろさ、可能性というものを狭めているのではないか、と問題提起している。
 この筆者のことは、初めて知ったが、実にあらゆるジャンル(こういういい方こそ、固定観念にとらわれていて、筆者の嫌うところだが)の本に接して精通していることに驚いた。この評論シリーズは、いずれまとまって単行本化されるようなので期待したい。
 
コメント
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