おやじのつぶやき

おやじの日々の暮らしぶりや世の中の見聞きしたことへの思い

読書7「世界怪談名作集(上下)」(岡本綺堂編訳)河出文庫

2009-08-11 23:33:40 | つぶやき
 昭和4年(1929年)に改造社より「世界大衆文学全集」の一冊として刊行され、好評だった。その後、『岡本綺堂読み物選集8 翻訳編 下巻』(1970年)に再録された。その文庫版上下。
 岡本綺堂(1872年~1939年)からは「半七捕物帖」で知られる捕物帖小説の創始者。また、「修善寺物語」や「番町皿屋敷」などの戯曲も書いている。
 古今の怪奇小説に造詣が深く、怪談の名手でもあった。その綺堂が主に西洋の怪奇譚を自ら厳選し、訳出したアンソロジーが、この本。玄妙で味わい深い好短編を集めている。
 昭和4年の当時の、作者の序では「怪談といっても、いわゆる幽霊物語ばかりでは単調に陥る嫌いがあるので、たとい幽霊は出現しないでも、その事実の怪奇なるものは採録することにした」とあり、「外国の怪談16種、支那(現在の中国、当時の表現)の怪談1種」を採りあげている。ちなみに中国の怪奇小説は、かの有名な「牡丹燈籠」である。
 プーシキン「スペードの女王」、ディッケンズ「信号手」、ホーソーン「ラッパチーニの娘」、ドイル「北極星号の船長」、ホフマン「廃宅」など、当時から見ても「古典」と言えそうな作品を選んでいる。また、実際のところ、幽霊話が多い。
 夏の涼しい(冷房がかかっているので)一夜に読むのも一興である。しかし、この文庫本を読みながら寝てしまったら、ちょっと恐い夢を見てしまった。あまり感情移入しない方がよいようで。
 
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