Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

シェイクスピアのポリコレ解釈

2022年11月15日 06時30分24秒 | Weblog
モナコ公国モンテカルロ・バレエ団「じゃじゃ馬馴らし」 バレエになったショスタコーヴィチ
 「ジャン=クリストフ・マイヨーにはシェイクスピアの戯曲を題材とする「ロミオとジュリエット」や「夏の夜の夢」がありますが、いずれも音楽の上に洗練された振付を施して卓越した舞台を実現しています。今回マイヨーとモンテカルロ・バレエ団が持ってくる「じゃじゃ馬馴らし」もシェイクスピアによる作品ではあるのですが、音楽の使い方の点で、前記2作品と異なるのです。というのも、「ロミオ~」はプロコフィエフの"バレエ音楽"ほぼそのままに、「夏の夜の夢」もメンデルスゾーンの同名の劇音楽に振付けたものに対し、「じゃじゃ馬馴らし」の場合は、終始ショスタコーヴィチの音楽で統一されているとはいえ、大部分が彼の映画音楽(!)からとられているのです。

 モンテカルロバレエ団の来日公演は、おそらく珍しい。
 私などは、”モンテカルロ”と聞くと、やはり既に31回来日公演を行っているトロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団の方を先に思いついてしまう。
 さて、「じゃじゃ馬馴らし」のコリオは非常にアクロバティックで、スリリングな場面の連続である。
 音楽は大部分がショスタコーヴィチの映画音楽から採用されているというが、雰囲気やコリオとマッチしていて、最初からバレエ音楽として創られたかのようである。
 ちなみに、彼は第一回ショパン・コンクールに出演しているが、本人いわく盲腸の痛みのため実力が発揮できず、不本意な結果に終わっている(ショパンコンクールでのショスタコーヴィチさん)。
 シェイクスピアの戯曲では、手に負えないじゃじゃ馬娘のカタリナをペトルーチオが機知と勇気で”馴らす”というストーリーだが、これはさすがに現代では受け入れがたい。
 台本作家のジャン・ルオー氏によれば、
 「気難しい女性をいかに「飼い馴らす」かではなくーー最終的にはお互いを認め合うことになる二つの強烈な個性の出会いを描いている。
という風に、ポリコレ解釈が施されている。
 こういう風に、音楽もストーリーも、原作からかなり変容したものとなっていて、新たな創作と言う方がよいようだ。
 
コメント
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