Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

空中戦

2022年11月29日 06時30分08秒 | Weblog
講談社元社員「妻殺害」裁判で最高裁が有罪判決破棄差し戻しという「逆転」判決の意味
 「原審では、弁護人の控訴趣意書及び検察官の答弁書において、Aの顔前面の血痕の有無に関する主張はなく、Aの顔前面の血痕の有無は特に争点とされていなかった。・・・
 しかし、原審検5号証添付の写真3及びその拡大写真には前額部挫裂創周辺の狭い範囲しか写っておらず、原審検6号証添付の前記写真には顔面全体が写っているものの、同写真は電子カルテから普通紙に印刷されたもので色調が不鮮明である。これらの写真からAの顔前面の血痕の有無を判断することは困難というほかなく、他にAの顔前面の血痕の有無を判断する根拠となり得る証拠は取り調べられていない。
 仮にAの顔前面の血痕があるとすれば、原判決の論理によっても、Aの両手に血液の付着やその痕跡がなく、血液を拭うなどした物も見当たらなくとも必ずしも不合理でないことになるから、原判決が本件自殺の主張を排斥した主要な根拠が失われることとなる。
 また、原判決は、Aの両手に血液の付着やその痕跡がなく、血液を拭うなどした物も見当たらないことから、Aが前額部挫裂創を負った時点で意識を消失しており、意識を回復することなく死亡したことが推認できるとし、そのことが本件推認を強く支えるともしているが、Aの顔前面の血痕があるとすれば、本件推認の強い支えも失われることとなる。


 判決文の要点を抜き出してみたが、これを読む限り、一審・控訴審ではむなしい空中戦が展開されていたようである。
 重大な争点であるべき「Aの顔前面の血痕の有無」がなぜか争点になることなくスルーされ、これに関する証拠がまともに取り調べられることもないいまま審理が進み、判決が下されてしまったのである。
 つまり、事実と証拠の吟味を欠いた空中戦の末の判決だったということである。
 これはやはり、最高裁の調査官がいい仕事をしており、それを裁判官がよく理解したということだろう。
 この判決のメッセージは、「捜査側は写真をちゃんと出せ」ということではないかと思われ、そのことは、上に引用した表現ぶりからほぼ明らかだろう。
 この証拠がないということは、ちょっと考えられないのである。
 
コメント
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