Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

ポリコレ解釈されたムソルグスキー(2)

2022年11月23日 06時30分43秒 | Weblog
 トークの中で、亀山郁夫先生は、「ボリス・ゴドゥノフは、一般名詞としての意味を持っている」という趣旨の指摘をなさっている。
 一般名詞としての「ボリス・ゴドゥノフ」は、部族社会の原理からすると、「ジェネアロジーとテリトリーとの関係」(リューリク朝ロシア帝国)に(前帝フョードル1世の妻の兄として)外から侵入した人物と言う位置づけになるだろう(カイシャ人類学(14))。
 ところが、ボリス・ゴドゥノフは、単なる「外」にはとどまらず、イヴァン雷帝の末子:ドミトリー皇子を殺害して帝位についたという「濡れ衣」を着せられてしまう(今日の歴史家は、ドミトリー殺害の事実を否定するそうである。)。
 民衆は真実より「ジェネアロジー=リューリクの永続性」を求めたということなのだろうが、ここにロシア的「フェイク」の起源があるような気がする。
 実際、その後僭称皇子=「偽ドミトリー」なるものが現れ、ジェネアロジーの継続性を仮構するのだから、始末が悪い。
 ちなみに、佐藤優氏は、トークの中で、北朝鮮の現在の最高権力者も「僭称」であると指摘している。
 東アジアにおいては、帝位・王位は長子が継承するのが原則だからである。
 ・・・このオペラは、現在のロシアや北朝鮮の体制・文化を解き明かしてくれているような気がするのだ。
コメント
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