トークの中で、亀山郁夫先生は、「ボリス・ゴドゥノフは、一般名詞としての意味を持っている」という趣旨の指摘をなさっている。
一般名詞としての「ボリス・ゴドゥノフ」は、部族社会の原理からすると、「ジェネアロジーとテリトリーとの関係」(リューリク朝ロシア帝国)に(前帝フョードル1世の妻の兄として)外から侵入した人物と言う位置づけになるだろう(カイシャ人類学(14))。
ところが、ボリス・ゴドゥノフは、単なる「外」にはとどまらず、イヴァン雷帝の末子:ドミトリー皇子を殺害して帝位についたという「濡れ衣」を着せられてしまう(今日の歴史家は、ドミトリー殺害の事実を否定するそうである。)。
民衆は真実より「ジェネアロジー=リューリクの永続性」を求めたということなのだろうが、ここにロシア的「フェイク」の起源があるような気がする。
実際、その後僭称皇子=「偽ドミトリー」なるものが現れ、ジェネアロジーの継続性を仮構するのだから、始末が悪い。
ちなみに、佐藤優氏は、トークの中で、北朝鮮の現在の最高権力者も「僭称」であると指摘している。
東アジアにおいては、帝位・王位は長子が継承するのが原則だからである。
・・・このオペラは、現在のロシアや北朝鮮の体制・文化を解き明かしてくれているような気がするのだ。
一般名詞としての「ボリス・ゴドゥノフ」は、部族社会の原理からすると、「ジェネアロジーとテリトリーとの関係」(リューリク朝ロシア帝国)に(前帝フョードル1世の妻の兄として)外から侵入した人物と言う位置づけになるだろう(カイシャ人類学(14))。
ところが、ボリス・ゴドゥノフは、単なる「外」にはとどまらず、イヴァン雷帝の末子:ドミトリー皇子を殺害して帝位についたという「濡れ衣」を着せられてしまう(今日の歴史家は、ドミトリー殺害の事実を否定するそうである。)。
民衆は真実より「ジェネアロジー=リューリクの永続性」を求めたということなのだろうが、ここにロシア的「フェイク」の起源があるような気がする。
実際、その後僭称皇子=「偽ドミトリー」なるものが現れ、ジェネアロジーの継続性を仮構するのだから、始末が悪い。
ちなみに、佐藤優氏は、トークの中で、北朝鮮の現在の最高権力者も「僭称」であると指摘している。
東アジアにおいては、帝位・王位は長子が継承するのが原則だからである。
・・・このオペラは、現在のロシアや北朝鮮の体制・文化を解き明かしてくれているような気がするのだ。