統一地方選+補選を総括すると、「維新の躍進」と「やはり強い世襲議員」という風になるだろう。
私見では、これは、日本の政界に新たな対立軸が生じたことを明確に示すものであり、「第3ラウンド」が始まったと見てよいと思う(第2ラウンドから第3ラウンドへ)。
おおざっぱに言えば、都市部に多い「勝ち組サラリーマン層」が、地方に強固な基盤を持つ「世襲貴族」に攻勢をかけ始めたということである。
与党は、確実にこの動きに脅威を感じているので、「最後の棒倒し」を早める方向に動くのではないだろうか?
すなわち、早期(6月の国会会期末)に「防衛増税」を大義に掲げて衆院を解散し、第3ラウンドで劣勢に追い込まれる前に収奪(オートファジー)準備を終えてしまうという作戦が考えられる。
この点、維新は、「敵基地攻撃能力」の強化に賛成しておきながら(裏金作りと表金作り)、「安易な増税には反対」というスタンスのようなので、この矛盾を突かれると困るはずである。
そうなると、維新が少なくとも地方に党勢を拡大させることは難しく、与党が安定多数を確保し、その上で「防衛増税」に踏み切るのではないだろうか。
そして、これによって、「最後の棒倒し」が本格的に始まることになるだろう。
これに対し、依然として、「犠牲強要」の被害者である非正規雇用労働者や若者を代弁する政党は存在しないか、あるいは存在するとしても活動は低調のようだ。
なので、「犠牲強要」の被害者は、新たな対立軸から取り残されてしまうかもしれない。