リリ・ブーランジェ/春の朝に
(リリ・ブーランジェ生誕130年)
サン=サーンス/ヴァイオリン協奏曲第3番*
ベルリオーズ/幻想交響曲
(リリ・ブーランジェ生誕130年)
サン=サーンス/ヴァイオリン協奏曲第3番*
ベルリオーズ/幻想交響曲
指揮者のクロエ・デュフレーヌはこれが日本デビューだというが、見た感じではかなり男性的で力強い指揮である(ちなみに脚を開いた姿勢でタクトを振るスタイル)。
前半のコンチェルトでは、中野りなさんが演奏する1716年製のストラディヴァリウスが良く響いていた(2004年生まれというからまだ十代である)。
さて、メインディッシュの「幻想交響曲」だが、公演パンフレットを見ていてちょっと驚いたことがある。
公演パンフレットには、Webで公開されている楽曲解説(日本語部分のみ)には載っていない、Robert Markowさんによる英文の解説が搭載されているのだ。
そこには、この曲の誕生にまつわる生々しい逸話などに続いて、モチーフとなっている”idée fixe”(固定楽想) についての解説がある。
This idée fixe (a term borrowed not from music, but from the then-new science of psychology)・・・・
とあるから、これは、当時の心理学における新しい概念:「固定観念」を借用したものらしい。
だが、「固定楽想」である「恋人」の旋律の使い方を見ると、これはむしろ「反復強迫」の意味に近いように思える。
つまり、かつて自分を袖にした「恋人」から受けたトラウマが、芸術家を駆動しているというわけである。
こう解すると、芸術家が「恋人」を殺害する理由が分かるように思う。