「会議の議論を主導した損保ジャパンの中村茂樹専務(現・常勤監査役、当時は首都圏営業担当)が冒頭で語ったのは、不正請求への対応をきっかけにして、競合他社に自賠責などの契約を奪われるかもしれないという危機感だった。中でも危惧していたのは、三井住友海上の動向だ。
三井住友海上がビッグモーターに対して、条件次第では「これ以上不正請求を深くは追及しないと耳打ちしているようだ。このままでは(契約が奪われる)厳しい状況だ」という趣旨の発言が、中村氏からあった。」
「しかしながら、三井住友海上とあいおいががっちりと連携して、1保険代理店の自賠責契約のおこぼれを目の色を変えて取りにいくことなどあり得ないことは、損保業界にいる人間なら容易にわかる話だ。同じグループとはいえ、三井住友海上とあいおいの連携はそれほど強くないからだ。」
刑事事件で、被疑者の弁解が成り立たないような証拠固めをすることを、「弁解つぶし」などと呼ぶことがある。
金融庁は、三井住友海上火災保険に対して保険業法に基づく報告徴求命令を出したが、これは「弁解つぶし」ではないかというのが、記者の指摘である。
つまり、損保ジャパンの中村専務(当時)は、「このままでは三井住友海上に契約を奪われる」という”偽情報”を流して、BM社との取引再開へと誘導したというのが金融庁の見立てであり、その裏付けを取ろうとして報告徴求命令を出したというのでである。
その結果は、まだ出ていない(金融庁、三井住友海上に追加の報告徴求命令 ビッグモーターの保険金不正請求問題で)。
引き続き注視していきたい。