Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

技官自治

2022年01月11日 06時30分34秒 | Weblog
 「文藝春秋」最新号の”霞が関コンフィデンシャル”のところに、興味深い記事が載っていた。
 内閣官房の事務官があれこれ指示をしても、厚労省の技官が言うことを聞かないので、コロナ問題対応がギクシャクしているという趣旨の記事である。
 そこで気になったのは、厚労省の技官は自ら恃むところすこぶる厚く、閣僚や事務官の指示をネグレクトしているという指摘であった。
 確かに、閣僚や事務官が間違った政策を実施しようとした場合、技官が「専門性」を盾にしてこれを阻止するというのは、場合によっては賢明な策ともなり得るだろう。
 だが、コロナ問題を見れば分かるとおり、「専門性」を標榜する人たちの判断が、必ずしも正しいとは限らない。
 また、(独立性が要請される検察庁などとは違う)一般の官僚組織(一部)において政策遂行についての大幅な”自治”(端的にはネグレクト)が許されるというのは、三権分立の観点からも疑問が出てくる。 
 公共事業の発注を巡って技官が政治家とタッグを組むという状況(指定席をご参照)も異常だけれど、政治家や事務官の指示が技官たちにスルーされてしまう体制も、やはり異常なのではないだろうか?
 やや飛躍するが、戦前・戦中の陸士・陸大出身者の「暴走」を思い起こしてしまうのである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

対岸の火事?

2022年01月10日 06時30分34秒 | Weblog
カザフ大統領、中ロに謝意 デモ鎮圧、権威主義陣営へ
 「トカエフ氏は「わが国での悲劇的な出来事は、新たに民主主義と人権の問題を明らかにした」と述べ、「民主主義とは、やりたい放題にすることや、ブログなどで違法行為を扇動することではない」と主張。「いわゆる自由なメディアや外部の活動家が法秩序違反を助長し、実際には扇動する役割を担っている」と決め付け、「テロリスト」摘発に向けた省庁間組織を発足させたと明らかにした。トカエフ氏はデモ隊を「テロリスト」と非難している。

 「民主主義と人権の問題」というのは不適切であり、カザフスタンにおける「政治の不成立」という最大の問題を、大統領自身が明らかにしてしまったというのが正しい説明ではないかと思う。

木庭顕『ローマ法案内──現代の法律家のために』
 「「完全に自由独立な」ということの意味であるが,それら主体間の関係を(或る高度な質を伴った)言語だけが媒介しており,実力や物的非物的取引が媒介しているのでない,ということである。・・・彼らがこの言語つまり自由な議論だけで物事を決定したとき,この決定が社会全体に対してオールマイティーでありこれを覆すものがない,ということである。事実これが絶対視され,何らの強制力なしに社会全体において実現される(どんなに自由な決定であろうともこれを実力によって強制したのであれば,そこに自由はない)。」(p17~18)

 「デモをすると実力で鎮圧される」というわけで、これを典型的な「政治の不成立」のあらわれとみるわけである。
 これを対岸の火事といってよいかどうかは、じっくり考えてみる必要があるだろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

再逆転?

2022年01月09日 06時30分46秒 | Weblog
乳腺外科医の準強制わいせつ事件、逆転有罪の二審判断見直しか 最高裁で来年1月弁論
 「手術直後の女性患者にわいせつな行為をしたとして、男性医師が準強制わいせつ罪に問われた事件で、最高裁第二小法廷(三浦守裁判長)は、上告審弁論を2022年1月21日午後3時に開くことに決めた。

 被害者供述の信用性(+それを支えるDNA鑑定の信用性)が問題となっている事件で、地裁と高裁で判断が分かれている事案。
 最高裁は、おそらく「被害者が嘘をつくはずがない」というテーゼを無条件に採用しないというスタンスと思われ、今回は破棄差戻しの可能性が高そうである。
 一大転機となったのは、おそらく防衛医大教授痴漢冤罪事件千葉市中央区強姦事件あたりだったのではないだろうか?
 こうした事案を見ると、法曹一元を採用し、かつ「弁護士と検察官の両方を経験した者」を刑事裁判官に任官するという制度が望ましいと思うのである。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

さらば、昭和の鬼たちよ

2022年01月08日 06時30分37秒 | Weblog
体罰・虐待を正当化する口実に…子への民法「懲戒権」見直しへ
 「要綱案では、同規定を削除する代わりに、「監護及び教育をするに当たっては、子の人格を尊重するとともに、子の年齢及び発達の程度に配慮しなければならない」として、しつけの際の親の行動規範を示す。そのうえで、親から子どもへの「体罰」や「心身に有害な影響を及ぼす言動」を禁止する規定を盛り込む方針だ。

「昭和の警察官、本年で一掃を」 神奈川県警本部長が訓示
 「働きやすい職場環境の実現に向けても、「幹部職員の『変わろうとする努力』と気付きで、組織の在り方は大きく変わる。時代に合わない働き方を良しとする『昭和の警察官』を、本年で一掃してほしい」と求めた。

阿部慎之助失速で、桑田真澄、元木大介が猛追…巨人監督レース、原辰徳の次は誰に?
 「なぜスムーズに“禅譲”が進まなかったのか。
 「阿部さんはミスをしたら厳しく叱責したり、罰走をさせたりと、二軍選手を萎縮させていた。その体育会気質が読売新聞本社筋から良く思われておらず、一軍監督としては時期尚早と判断されたようです」


 3つのニュースを並べてみると、家庭や職場での暴力的あるいは犠牲強要的な言動に対し、国家・社会がセンシティヴになっていることがよく分かる。
 これはよい傾向である。
 部族社会の原理(「父」の権威はその最たるもの)には、軍事化の契機がビルトインされているのだが、警察組織(準軍事的集団)や戦争を儀礼化したスポ―ツのプロ集団(巨人「軍」)を見ただけでも、そのことは一目瞭然である。
 もはや、昭和の「頑固おやじ」や「鬼軍曹」は一掃されるべき時代になったのである。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第三のステージ

2022年01月07日 06時30分13秒 | Weblog
橋本ロマンス、新作発表を決めた理由はコロナ禍で抱いた違和感
 「岡本太郎にクリスト&ジャン・クロード、ボブ・フォッシー、ピナ・バウシュ、ディミトリス・パパイオアヌー、勅使川原三郎、MIKIKO、クリストファー・ノーランなど、ダンサーのみならず様々なアーティストに影響を受けており、「サイクロン・クロニクル」は「オズの魔法使い」とプラトンの「饗宴」に登場する「アンドロギュヌスの逸話」をモチーフにしている。発想の源、創作の過程について、橋本はこう語る。
 「文学や映画が直接的に発想の源となるというよりは、作品内で伝えたいことを多面的に掘り下げていくために文学や映画の持つ文脈ごと挿入するという感じです。我々が抱えている問題の大半はもう既に歴史上で起こっているので、そのことを題材とした作品をモチーフとして取り入れることで、自分の作品の支えてもらうことが多いです。複数の物語の文脈をコラージュ的に配置したり重ね合わせたりすると、全く新しい文脈や物語同士の関係性が現れてくることがあります。それをしつこく検証して『これってもしかしてこういう意味なんじゃないかな?』という自分勝手な大発見をすることが創作の核になっています。そして、その自分で作った仮定を証明していく作業がパフォーマンスであると考えています」


 ダンスマガジン2022年2月号のアンケートで、「もっとも印象に残っているコリオグラファー」に橋本ロマンスさんを挙げる人が多いのに驚いた。
 私はまだ生では観たことがない。
 ヴィヴィアン佐藤「現代性のある身体への眼差しと姿勢。だれもが身体を持ち日常を送っている。日常の無意識の仕草や都市のイメージとしての身体像をいまもっとも体現している点。舞台でもなくストリートでもない、第三のステージそのものを表出している。」(p52)
などという絶賛の声多数。
 ちなみに、私の「2021年ベスト」は、モーリス・ベジャール・バレエ団の「バレエ・フォー・ライフ」の中の Radio Ga Ga である。
 ボックスの中のダンサーたちの万華鏡のような動きを観ているだけでも楽しい。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Stop, don't walk!(2)

2022年01月06日 06時30分08秒 | Weblog
青学大圧勝Vの裏で広がる箱根駅伝の“格差“…人気校はさらに強く予選会校は留学生頼み
 「ただ言えることは、高校生のスカウトは年々ヒートアップしており、箱根駅伝の実績が乏しい大学や、ノンブランド校は“条件面”が高い傾向がある。そうしないと有力ランナーに見向きもされないからだ。逆にいえば、青学大、中大、明大などのブランド校や、駒大、東洋大などの強豪校は人気が高い。
 条件面を釣り上げても有力選手が入学してくれないチームはどうするのか。そうなると留学生ランナーに頼らざるを得ない。


 正月の風物詩とも言うべき箱根駅伝だが、走る競争というだけではなく、少子化時代においては大学の宣伝競争、つまり「入学者獲得競争」という側面も有しているようだ。
 それにしても、年末の格闘技や正月の駅伝など、本当に日本人は「競争」が大好きである。
 私などは、箱根に行くと、山肌を眺めたり、瀬音に耳を傾けたり、温泉でゆっくり過ごしたりするのが大好きなので、(本来の用法とは違うが)Wallk, don't run! あるいは、Stop, don't walk! と言いたくなる。
 つまり、年末年始は「競争」の要素から遠いところにいたい。
 正月早々「競争」するのはやめにして、「世界ウルルン滞在記」のようなテイストの番組を観たいものである。
 テレビ東京あたりがやってくれないものだろうか?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

紛失

2022年01月05日 06時30分46秒 | Weblog
裁判所は、紛失や誤廃棄をした司法行政文書について、公表することにしたんだね
 「令和元年度においては,各裁判所における文書管理に係る点検の結果などにより,22件の紛失等事案が判明した。
これらの紛失等の原因としては,文書の保管が適切に行われておらず紛失したもの,廃棄時の確認を適切に行わなかったことで廃棄対象文書と混在し誤廃棄したものなどがみられた。


 先月中旬のある遺産分割調停での出来事。
 出廷したら、調停委員から、「書記官のメモに『書面の提出なし』と記載されています。ですが、相手方からは受領書が提出されています。これはどういうことでしょうか?」という確認があった。
 私が一週間前に窓口で提出したと述べたら、書記官が書面を見つけ出し、なんとか「冤罪」を晴らすことが出来た。
 とはいえ、書面を見つけるまでに30分以上を費やしたばかりか、裁判官は書面を見ておらず、調停委員も私の手持ちの控えをその場で読むという作業を強いられたのである。
 ちなみに、書記官からは、年末の「ファイルの整理」の作業のため提出された書面が「迷子になっていた」という弁解があった。
 この出来事に遭遇した依頼者は、「裁判所って、こんな管理体制なんですね」と呆れていたが、どうりで重要書類がよく紛失するわけだ。
 当然のことながら、根本的な問題は「紙媒体での保存体制」にある。
 だが、これを変えるには相当な年月が必要になりそう。
 現状でも、紛失防止策はある。
 それは、「複数チェック体制」である。
 私が経験した”事件”も、複数の職員がファイルや書面の所在をチェックしていれば容易に防げたはずである。
 裏を返すと、現状、(少なくとも東京家裁においては、)ファイルの管理者は書記官一人だけという体制なのだろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

地下適応

2022年01月04日 06時30分10秒 | Weblog
生物はなぜ死ぬのか 講談社現代新書 著:小林 武彦
 「霊長類にたとえると、ヒトとほぼ同じサイズのゴリラやチンパンジーの寿命は40~50年なので、もしハダカデバネズミ並にヒトが長生きできたとすると、単純計算ではヒトの寿命はその10倍の500年生きることになります。」(p198)

 この先、仮に米中ロ間で核戦争が起これば、地上で生活することは出来なくなるだろう。
 そうなると、今のうちに地下に都市を建設しておくというのが賢明な政策なのかもしれない(一極集中(2))。
 これについては、猛獣たちが跋扈する地上を逃れ、地下での生活に適応したハダカデバネズミが参考になる。

第1回: ハダカで、デッパで、ネズミです
 「狭い地下トンネルでの集団生活という生育環境に適応した結果が、このキモカワイイ姿だと言えるでしょう。身を寄せ合って暖を取るので、寄生虫が潜みやすい毛皮はむしろ不要。土を掘り進んで餌を探すためには、大きく頑丈な歯が欠かせません。暗闇の中では見えないので、目は退化して小さく、視力もほとんどないそうです。一方で、匂いは情報を得るための手段としての価値が高いせいか、鼻には存在感があります。
 「人間の寿命が100歳だとすると、80歳まで若い頃と変わらない体を保つという、まさに「健康長寿動物」。飼育下で、ほとんど発がんが確認されていない「がん化耐性」も注目されています。これらの機能を実現している分子生物学的なメカニズムを解明して、人類の未来に貢献することこそ、我々の使命なのであります。

 将来的には、地下都市での生活に適応した人間だけが生き残るということになるかもしれない。
 その時、人類は、見た目がハダカデバネズミのようになっているかもしれないのである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

死の欲動(5)

2022年01月03日 06時30分52秒 | Weblog
<総力特集 秋篠宮家の断層>佳子さまに眞子さんと同じ結婚はさせない 秋篠宮「重大決断」 12月30日/1月6日 新年特大号
小林武彦「複雑なものを作る上で絶対に必要なのは材料ですが、レゴブロックみたいに形あるものをばらして材料として使うのが便利です。固定されて   
しまうと、そこから先へ変われませんから。

池上彰「宇宙で言うなら、超新星爆発によって様々な物質がまき散らされて、また新しい星が生まれるようなものですね。
小林武彦「はい。壊れやすくて新しいものに作り変えやすいことが、おそらく進化のプログラムの一番の肝なんです。その作業がだんだん複雑になって、最終的に人間へと至ります。我々は死んだら灰になるが、地球から外へ出ることはありません。回りまわって、何かしらの生物の材料になっていく。だから、進化のプログラムは輪廻転生ですよ。」(p59)

 小林先生の説を初めて読んだのは、確か「新潮45」だったと思う。
 その際、「フロイトの『死の欲動』が最新の生物学によって裏付けられた」という感慨を覚えたのだった。
 たまたま「週刊文春」を読んでいたら、こういうやり取りに遭遇し、今度は、「ニーチェの『永劫回帰』が最新の生物学によって裏付けられた」という思いを抱いたのである。
 それにしても、ご先祖様が「草葉の陰から見守る」という日本的死生観は、生物学的な観点からすれば不合理なのだろう。
 なぜなら、レゴブロックは分解されてしまうべきものなのだから。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

分散

2022年01月02日 06時30分11秒 | Weblog
「出世払い」の語源、実は倒産用語だった? 最新の研究から読み解く、江戸時代の倒産制度とは
 「これまで多くの歴史研究で、分散は現在の破産に相当するものとして説明されてきましたが、最近の研究では、2001年に作成された「私的整理ガイドライン」に従った任意整理に近いものとする指摘があります。
 分散は、関係者同士の了解の下で行い、原則として奉行所(裁判所)が関与しない点で、法的倒産処理手続によらずに、多数債権者と債務者の合意により集団的に債権債務を処理する現在の任意整理に相当すると考えられます。任意整理は当事者の同意によって行われるため、もともと決まった方法はありませんが、このガイドラインには法的拘束力はないものの、ガイドラインに沿った任意整理を行うことで債務免除相当額を損失として税務処理できるなど準公的な側面をもつようになります。


 江戸時代の「分散」は、奉行所が関与しないところから、任意整理に近いということが出来る。
 興味深いのは、「分散」においては、多数(多額)債権者の了承によってこれが実現していたという点である。 
 というのも、最近相談が増えている「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を新型コロナウイルス感染症に適用する場合の特則においても、最大の債権者の同意が適用の要件とされているからである。
 ちなみに、私が最近受任した事件では、最大の債権者が同意せず、適用を見送ったというものがある。
 制度があっても、こういう債権者がいると、意味がなくなってしまうのである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする