パンセ(みたいなものを目指して)

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フェイクニュース、あるいは微妙な表現

2020年10月07日 08時44分03秒 | あれこれ考えること

湾岸戦争の時、油まみれになった水鳥がニュースとして全世界に流された
報道内容としては、フセイン大統領が油田を破壊して油が流失し
そこにいた水鳥が悲惨な目にあっているとの内容だった

しかしこれは全くのフェイクニュースだった
油まみれの水鳥の動画は別のところで撮影されたもので
意図的に勘違いするように流されたものだった

今日のテーマは、このフェイクニュースの送りての倫理観・正義感を問うことではなく
このことが、人々の記憶にどのように残されたか?という点だ

試しに、この油まみれの水鳥の映像を知っているか?と聞いてみる
印象的な映像だっただけに、それなりの年齢の方は覚えていた
そこで次に「あれはウソのニュース映像だったことを知っているか?」
と聞いてみると、今度はほとんどの人が知らなかった、と答えた
油まみれの水鳥の映像については、提供者が謝罪を行ったらしいが
人々は最初のインパクトが強すぎて、人々の事実認識は訂正されないでいるようだ

わざわざ昔のことを引っ張り出してきたのは、
このようなことが日本でもなされていないか!と不安になるからだ

ここ数日、取り上げている日本学術会議の件に関して、お昼の番組のバイキングで
フジテレビの上席解説委員の平井文夫氏が
「この人たち(日本学術会議員)は6年ここで働いたら、そのあと学士院というところに行って
 年間250万円の年金をもらえるのですよ。死ぬまで。皆さんの税金で。だいたい。
 そういうルールになっている。」
と発言をした
詳しいことを知らないタレントさんは専門家(情報通?)の人が言うことだから
素直に信じて一応に驚きの声を挙げた(多分怒りも覚えただろう)

しかし、これは全く事実ではなかった
まずは学士院の人数は150名で、ルールに従ってなれるものなら人数はいつかオーバーしてしまう
それに学士院の設立目的は学術会議とは全然違うし管轄も違う

この発言のいい加減さに気づいた人は、抗議の声を挙げた
そして一部の間では大きな問題となり、ツイッター上でも怒りの声が上がった

その後、自分は確認していないがフジテレビは訂正とかお詫びを行ったらしい
(本人ではなく局アナから)

だが問題は、あの平井氏の話を聞いた人は、自分の記憶にある認識を訂正できているだろうか?
という点で、冒頭にあげた油まみれの水鳥の例のごとく
訂正されないでそのままではないか!ということだ

最初の報道、そしてその表現、
モノゴトを単純化して理解したい人々は、それらが正確かどうかを自ら確かめるなんてことはしない
単純に専門家が言うから、テレビが言うから、新聞が言うから、、と無条件で信じているところがある

話は飛んで、ニュースの見出しだとか表現について少し気になる例があった
学術会議の人件費が年間4500万円であると加藤官房長官から発表されたが
これは早とちりの人は、一人あたり4500万円もらうと勘違いを起こしそう
だがこれは全員の人件費で、210人もいるから一人あたりに換算すれば謝礼金くらいしかならない

税金を4500万円使っている
これは総額だが、一人あたりと間違って勝手に解釈するのは、間違って解釈するほうが悪い
間違ったことを発表しているわけではない、、
このあたりは、意図的かどうか、、微妙なところだが、問題はメディアがそれに安易に乗っかって
正確な報道をしなかったことだ

このように、信頼できる報道とされているテレビも新聞も、気をつけないと大いに勘違いを
させられる可能性があるということ
それにしても、変な時代になってきた、、という不安が消えることはない

コメント
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