最後まで読めるか心配だったので(上)しか購入しなかったのが
「歴史の終わり」(フランシス・フクヤマ)
これが読み始めたら面白い(こんなだったら(下)も買っておけばよかった)
本当はじっくり理解するように読むべきなんだろうが、先へ先へと気が急いて仕方ない
歴史、経済、哲学、心理学(?)などの分野が一人の知の巨人の手によって包括的に捉えられ
とてもわかり易く紹介されている
内容的にはベルリンの壁が崩壊するまでの事実を元に書かれていて
結局は民主主義と資本主義のバランスよく合わさったものが一種の到達点として
考えられるのではないか、、との仮定に沿って書かれている(違ってるかな?)
ただし、その後、世の中はそううまくは行かず金融資本主義と科学技術の発展により
豊かな中間層は徐々に消滅し、格差という新たな問題を生み出しているが
これが書かれた時点では、それで批判するのは酷な話で、まずはこのものすごく大きな掴み方
考え方を楽しむことがこの本の読み方のように思う
現在は(上)しか読んでいないので、(下)を読めば違った印象を持つかもしれない
この本の特徴的なのは哲学者ヘーゲルが出てくること
観念哲学の大家で現実社会とはあまり無関係そうに思えてしまうが、今で言う「承認欲求」
の概念こそが人が人としての存在のスタートとしていて、そこから考えられる幾多の可能性について
粘り強く例を挙げて紹介している
この本を読んでつくづく最近話題となる「総合的・俯瞰的」というのは
まさにこういうことだと強く実感する
(これと比べると政府の使う総合的・俯瞰的というのは単なる言葉のごまかしに過ぎない)
と同時に不安になったのは、こうした総合的な見方とまとめ方を現代の日本人の学者や専門家は
果たしてできるのだろうか?ということ
今起きていることの具体的なと著述とか解説本は、できる人はいかもしれないが
これだけのトータルな視点でまとめきるだけの力量のある人はちょいと思い浮かばない
ということで(下)はポチッとやってしまった
ついでにおすすめ本として最近やたらと目の前に現れてくる
佐伯啓思氏の「近代の虚妄: 現代文明論序説」も注文してしまった(何となくこの本と関連していそうで)
佐伯啓思氏は以前何冊か読んだが、この方もとてつもなく広範な知識の持ち主で、世の中には
物事をうまく説明できる能力のある人がいるものだと感心したものだった
(もしかしたら、日本で総合的に書ききれるのはこの人かもしれない)
でも、郵送でこれらの本が届くと、偉い人に「また、、、、」と嫌味を言われてしまいそう