パンセ(みたいなものを目指して)

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馬防柵付近の太陽光発電に関する住民説明会

2023年10月06日 09時54分26秒 | 新城・地元に関すること

夏草や兵(つはもの)どもが夢の跡 

奥の細道の中の芭蕉の有名な句だ
多くの日本人はこの句から漠然とした無常観や
時の移り変わりの寂しさを感じ取ることができる(と思われる)

目に入る風景が青々と伸びた夏草ではなく
ソーラー発電のパネルだとしたら、人はどのように感じるだろう
風情も何もあったもんじゃない
時代の変化がよくわかって時の残酷さが際立つ
何も感じない、、、などなど様々だろう

フトそんなことを考えたのは、昨晩、新城市八束穂の公民館で行われた
「八束穂地区における太陽光発電所建設に関する住民説明会・意見交換会」
にでかけたからだ
この場所は長篠・設楽原の戦いで武田軍が織田・徳川軍の馬防柵からの
火縄銃攻撃で壊滅的な敗戦を被った場所で
地元の有志による「設楽原を守る会」では、毎年、馬防柵の保守点検や
草取りなどを行い、歴史上重要な出来事の起きた場所を保存している

その場所に、ソーラー発電の計画があると新聞紙上に報じられたものだから
関係者は驚き・慌てた
風景を損ねるソーターパネル、なんとしてもそれは阻止したいと願う
「守る会」は直ぐ様行動を起こし、この計画の中止を願う署名活動を行い
その署名簿を事業者に提出した

新城市では新たにソーラー発電事業を行うには
条例で決まった手続きによることになっている
その中には「住民説明会」の開催があり、昨日はその説明会だった

新聞でも数回掲載されたこの案件は市民の関心度も高く
八束穂公民館には八束穂区の住民だけでなく
守る会のメンバーはもちろんの事、議員さん、郷土の歴史家、市職員
報道陣などの多くの人が集まった

事業者は京都に本社をおくエクソルで、18時から用意した資料とか
今どきの文明の利器(ズーム)を使い経営者の挨拶を交えて
手際よく説明会は進められた

もしかしたら荒れた説明会になるかもしれないと危惧したが
今回の事業に土地を提供する人も地元の住人で普段から顔を合わせる人
彼らの土地を提供するに至った気持ちも分からないでもないので
事業中止を願う人も強い態度には出なかった(本当に地権者の人を慮っていた)

驚いたのはここでは事業者に対する意見交換がメインであったのも関わらず
行政への不満(何もしないこと、知識がないこと、色々明らかにしないこと)が
数多く見られたことだ

実際のところ、この様な事業の可否はなかなか難しい
手続きさえちゃんとしていれば禁止できる法はないようだ
だがそれでは今まで古戦場を守ってきた人の気持が晴れない


事業者はソーラー発電事業の意味をいくつかの観点から説明し
それが社会的に必要なものであると訴える
そのように社会正義的な視点から諭されると
事業を中止して欲しい人たちの反論はなかなか難しい
しかも地権者は知り合いの人達で強く言いづらい、、

だがこの問題は、実は情緒的なものをどのくらい重要視するか?
という点でもある気がする
再生エネルギー事業の意味とか耕作放棄地の問題(地権者の抱える問題)
とかは確かに無視することはできないが、少し夢想家の自分は
あるべき風景はどのようなものがふさわしいいか!
といった価値判断をもう少し検討したほうが良いような気がする

言葉や数字で説明できる効果とか利益ばかりではなく
その存在自体の漠然とした価値、、
そうしたものに価値をおくかどうかが、実は問われているような気もする

説明会・意見交換会では非難が多かった行政だが
事業者が市に事前確認に行ったときには、市は
「関係法令上は問題はないが、当該地は市が史跡に指定している地域の一部であるため
 景観上の観点から太陽光発電所の建設を再考してほしい」と答えているようだ

ところでソーラー発電の計画場所は、残念ながら馬防柵からしっかり見える場所
市には今のところ景観条例はないし、仮にあったとしても強制的に
ストップさせることはできないらしい

こういう時、市が良い解決策(聞いてみると多くの人が同じ意見だ)を提出してほしい
と思っているが、さてどうなるのだろう



 

 

 


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