パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

6月の「100分de名著」は「ショック・ドクトリン」(見逃してしまった!)

2023年06月23日 08時38分07秒 | 

今月6月のNHKの「100分de名著」は「ショック・ドクトリン」だった
(しまった、見逃した!ちょいと悔いが残る)
5年前に読んで、このブログにも書き残している
今、本棚に隠れているこの本には付箋もところどころ付いていて
再読しなければならないとその時は思ったようだ
時間が経つと記憶は薄れていくが、ドサクサに乗じたやり方は
怒りを覚えたのは覚えている

そこで、5年前2018年11月28日の投稿を再度アップしてみる
(横着もできるし)

ここから↓

月曜日、急に鼻血が止まらなくなった
最初はそのうち止まると気楽に構えてきたが、
いつまで経ってもタラタラと落ちてくる
そういえば、血液サラサラの薬を飲んでいたことを思い出した
身体のあちこちに知らないうちに青あざができてることも珍しくなく
こいつのせいか、、と少し情けなくなる

身体が縦の生活よりは横になっている方が鼻血は出ないだろうと腹を決めて、
寝転びながらの本を読むことにした
手にしたのは「ショック・ドクトリン」ナオミ・クライン著

寝転がって気楽に読める本ではなかった
危機的なショックが起きた時、人は判断力、思考力を失う
個人の例では拷問を(これがあまりにも効果的な方法が書かれていたので、そのことにまずは驚いたが)
された人間は、どのように人格を失っていくかが紹介されていて、これらは現実に使われているようだ
ショックが社会に関する時、例えばハリケーンや津波、政治的な対立(戦争)などの後には、人々はやはり
判断力も思考力も失う
この茫然自失の機会を逃さずにアメリカのシカゴ学派の唱える市場主義経済改革(大胆すぎる民営化など)
を進めようとするのが惨事便乗型資本主義で、この例として南米チリ・アルゼンチン・グアテマラが紹介される

その進め方は、およそ民主主義とはかけ離れた強権的な要素を持っている
もちろん表向きはそんなことはなく、言葉の上では何々のために、、、云々、、とまっとうな表現が表に出ている
しかし、この本は批判的な視点からのせいか、まっとうなやり方を否定するエゲツない方法
(強権的な方法・一見合法的とも見られるが実はそうではない方法)がこれでもか、と挙げられている
そして結局儲けるのはグローバル企業で、国民の間に所得格差を生んでいく

これらの挙げられた例が本当かどうかはわからないが、読んでいた時抱いた感情は、最初は「怒り」だった
ドサクサに紛れて私腹を肥やそうとする意地汚い資本主義の連中に対する怒り
次に感じたのは、それでもこの惨事便乗型資本主義を一見合法的に実行してしまう詭弁とか、現実的な支配力に対する「諦め(無力感)」
どんなに正当な普通の怒りを持ってしても、現在を支配している一部の人間たちのトータルな権力にはとてもかなわないような諦め思い

だから、読んでいる時は怒りと諦めがつきまとって少しつらいものとなった
が、人は痛い目をしていろいろと覚えたり賢くなっていくようだ
本の最後の方には惨事便乗型資本主義でボロボロにされた南米の国のその後が紹介されれている
彼らは惨事便乗型資本主義に実施と、それによって引き起こされたマイナス面(多すぎるが)
その反省を踏まえて今度は安易にIMFからの借金をしなかったり無闇矢鱈と事業の民営化を図らなくなった
そこには「自分たちのことは自分たちでなんとかする」という覚悟のようなものが感じ取られ
その姿勢が結局は今はなんとか持ち直していけるようになりつつあるというのだ

ピンチになった時、ピンチが大きい場合は、特につい誰かに何かに手助けをしてもらわないとと考えてしまう
でも安易にその手に乗ってしまうと、、ひどいことになる、、
自分たちのことは覚悟を持って自分たちでなんとかしていくように、、
手助けも、、よく考えた上で要請するとか、、
そのように考えたほうが良いよ、、と示唆するがこの本というのが自分の現在の認識

それにしても、数々のエゲツないやり方は本当に頭にくる
それは資本主義の性格によるものか、それとも無限の欲を持つ人間という存在が生み出すものか、、
(自分がお金持ちでなくて、欲深くなれずにいられるのは、、物足りないかもしれないが、悪いことではなさそう)


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