パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

選挙雑感

2021年11月01日 09時57分06秒 | あれこれ考えること

衆議院選挙が終わった
良いところもあれば、そうでないところも多い
この結果を受けて「日本人は変える勇気がない」こぼした人がいたが
勇気がないのではなくて、そこにはそれ以外の大きな問題が横たわっている気がする
そして、これについては、ずっと問い続けていかなくてはならないと思う(自分のできる範囲で)

おそらくリベラルの立場の人たちは、今この本のタイトルのように感じているのではないか


物事を批判的に見ていけば、そして事実を確認していけば答えは自ずと出てくるはず
だが結果はそれとは違う、なぜなんだ!
焦りにも似た感情が渦巻いているのは想像できる
そして多分一番悪いパターンの反応は、これらを理解できない人々を
「反知性主義者」と上から目線で見下してしまうことだ
確かに物事の解釈はいろんな視点があるといった次元を超えて
リベラルが訴えるようなひどいものがある(と思う)
しかし、彼らの(リベラル)の訴えは結果的に届いていない

だが、ここには一つの慢心がある
事実をたどっていけば自分たちの思う通りの世界が生まれるはずといった全能感だ
これは保守のチェスタトンの「理性のみを盲信するのは狂っている」とした考えにも通じる
自由平等博愛といった理念的な旗のもとに行われたフランス革命が
結果的に恐怖政治とか専制政治を生むきっかけなったように
人の社会は理性以外の多くの要素から成り立っている
人を解釈(理解)するには理性のみでは不完全だと思う

上に本を挙げたがついでにリベラルが読みそうな本をもう一つ


数年前に話題になった本だが、アメリカンドリームはもはや架空のものとか
格差が歴然として親ガチャにも通じる話だ
この本にあるような現状の認識をするかしないか、、で考え方は随分違ってくる
問題は基礎となる統計というものは、多様な解釈が成り立ちすぎるという点だ
よく使われる平均という物差しは実は万能ではなくて、中央値、最頻値などと合わせて
理解しなければならない
中央値、最頻値を眺めていくと、今の日本は平均で解釈される世の中よりは
もっと厳しい世の中になっていると思う
(あとジニ係数も参考になる)

話は選挙に戻って、現実の世界における選挙という戦いは
決して政策論争での勝負ではないと実感する
どんなにみっともない行為や発言をしようが、
自分たちの街からでた名前を知っている人なら
その選択が社会に対して最終的にどのような結果を生み出すかはお構いなしだ
いわば地元の「部分最適」は、社会の「全体最適」とはならないことを
当事者(選挙民)は自覚していないと思えてならない

「日本人は変える勇気がない」
については、多くの要素から出来上がっていると思う
オルテガの「大衆の反逆」リースマンの「孤独な群衆」リップマンの「世論」
山本七平の「空気の研究」フロムの「自由からの逃走」ハンナ・アーレントの「全体主義の起源」
で扱われたような個人の意識の問題の他に、個人の意識に影響を与えるメディア
についても注目しなければならないと思う
これは「太平洋戦争と新聞」「戦争と新聞」を読むと、如何に人が厭戦気分から
妙な高揚感に移り変わっていったかが分かる
メディアは怖い
メディアをコントロールすれば空気は変えられる
そしてメディアへの登場回数の多い人は、ほとんど選挙で勝ちを収めている

とはいえ、甘利さんも石原伸晃さんも今回の小選挙区では負けている
復活当選するから大きく見ればそれは大したことではないかもしれないが
それでも、小さな変化は起きている

きっと政治的な変化はハリウッド映画の予定調和のような具合にはいかない
急激な変化はフランス革命がそうであったように、反作用も大きい
しかしだからといって、変化がないのは困る
小さな変化を継続して行くには根気と忍耐が必要だと思う
問題は「それで間に合うか?」となるのだが、それは信じるしかない

今回地元の選挙区以上に気になったのが香川一区だ
小川さんがメディアを支配する家系の平井さんに勝った
これはその事実だけでなく、その選挙運動の過程がものすごく注目に値した
それは彼の演説を聞いた香川一区の人は、他所のしがらみで選択するような人たちとは
全く別の体験をすることになったと思われることだ
そしてそれは間違いなく後々まで人々の意識に影響する力をもつ

それはパンドラの箱から最後に出てきた「希望」なのかもしれない
彼のおこした小さな変化が、間に合いますように、、と切に思う

ところで現在関心ある分野の本はプロパガンダに関すること
Dappiのことも含めて、ちょいと怖い世の中になっているのではないかと不安


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