学生生活に別れを告げ、新たに社会人となった日、初めて会社の門をくぐり、定められた会議室のドアを開けたときのことを思い出す。その時は人事のKさんが笑顔で迎えてくれた。
不安な気持ちの中で、勇気を出してドアを開ける。そこから、何かが始まる。パンドラの箱を開けるように、もう引き返すことができない世界もある。
さて、傾聴の世界も、ドアを開けて入るような感覚がある。人の話を聞くぐらいは幼いころからやっているが、傾聴は、かなり特殊である。
ふつう、カウンセリングは50分くらいが限界といわれている。カウンセリングでなくても、生き甲斐の心理学の勉強会なども、傾聴モードで勉強していると、1時間くらいで実に疲れる。かなり集中力が要求されてるようだ。
傾聴により、自分の想像を超えた、他人の心が響いてくる。傾聴がうまくいけばいくほど、神秘的なまでの、他人のこころの動きが入ってくる。よく、心理学の勉強で、「自分以外の他人は驚きの対象」といわれる。
戦いのときは、同じような鎧、兜に身を固めたりするが(普通の生活では、鎧や兜、旗で済んでしまうことが多い)、生身の人は違う。生き甲斐の心理学の勉強を深めていくと、夫婦は当然であっても、親子でも友達でも、驚きの対象なのかなと思ったりする(笑)。
ただ、驚きの対象であっても、慈しんだり愛したりすることはできる。個性の美が感じられるからだろうか。
これから、個性とは何かも考えつつ、傾聴について述べていきたい。
傾聴力 1/10