加法と乗法との交換則、結合則、分配則を面積図や体積図またはテープ図で表すということを半年かもっと前に思いついて、いつかそのことを数学エッセイに書いてみようと思っていた。
これは誰かに教えてもらったわけでもなく、本を読んで知ったわけではないので、いわば自分のオリジナルと密かに思っていた。ところが昨日以前からもっている、「大道を行く高校数学」(現代数学社)の代数・幾何編を必要があって読んでみたら、私のアイディアとまったく同じことが図に描かれていた。説明に使われていた記号こそ私の考えていた記号とは違っていたが、アイディアは同じである。
同じような環境下にあれば、同じ発想をするというだけのことであるが、この本は約30年も前に書かれた本の新版である。この本を数年前には購入していたから、この本の記述を前に読んでいた可能性がないわけではないが、多分そうではないであろう。
この本を買って読んだ箇所はCauchy-Lagrangeの恒等式のところだけであり、他のところは読んだことがなかったと思う。この本は題名が示すように本格的な高校数学の本であり、なかなか通読しようという気を起こさせるようではない。だが、細かなところもなかなか気配りのされた本である。