物理学会が発行している「大学の物理教育」最近号Vol.1, No.1(2011)に物理学会の会長の永宮さんが書いていることが興味深かった。
永宮さんはいう。研究には研究テーマを立案する第1段階、それを実験や理論で検証する第2段階、そしてそのテーマが意味があったかどうかを評価する第3段階がある。
ところが大学の教育では第2段階が主眼になっている。ところが研究では第1段階と第3段階が重要である。そしてこの二つの段階においては人々の個性とかindependencyが問われる。
日本の教育は知識という意味では優れているが、もっとものごとを考える教育を奨励すべきである。「曲がった針金をまっすぐにするには、逆方向に大きく曲げてやらねばならない」(モンテーニュ)という。
知識偏重の人間をそこから脱却して個性とか独立性を高めるには、自分で考えるいう教育を今まで以上にしなくてはならない。これを永宮さんは逆フリ教育と名づけている。
真にそうである。永宮さんのこの所見は日本の学生と外国の学生との比較からでできたものである。日本人は外国との比較によってようやく自分の姿がわかるのであろう。
もちろん、なんでも日本が悪くて外国がいいなどということはないのだが、この永宮さんの指摘になるほどと思った。
このブログは考えてみると、なんでも面白いと思われる考え方とか事実とかをできるだけとり上げている。また、よく知られたことであってもあまり突っ込んで考えたことがないようなこととかに私自身が関心を抱くからである。この姿勢を今後も続けて行きたいと思っている。