物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

入試不正2?

2011-03-03 12:47:36 | 受験・学校

入試の不正は結構早く決着しそうな様子であるが、その結末はまだ予想されない。

そういう話とはまったく別の考えを今朝妻が呟いていた。それは大学に限らず学校は入りたい学生を拒まず、入学させてそして一人前にして卒業させてこそ、学校だというのである。大学についてはその辺は収容可能な人数に限りがあるので、簡単ではないが。

妻が呟いていたのは私の子どもたちが入学しようとしていた、中高一貫の進学校の校長先生の「優秀な生徒を受験させてほしい」という発言に対する反応であった。それでそういう考えでは教育者としての了見が狭いというのが妻の意見である。

どういう生徒が入学してもそれ相応に教育して、卒業させることができなければ、教育ではないのではないかという。まことにごもっともである。

数学者の小倉金之助がどこかで優秀な学生を育てたというのは教育が無力だったということの証にすぎないと書いていたと思う。

どういう意味だったかははっきりしないが、優秀な学生はどういう教育をしてもその才能を発揮するので、優秀な学生を育てたというのは本当の教育の意味をなしていないという趣旨であったろうか。

東京理科大学の前身の東京物理学校では入学を希望する学生は全員入れたが、そこを卒業するのは難しかった。野球のインニングの裏表のように、たとえば3年の表と次の年の裏とか言われていたそうである。3学年をすべて裏表をやって6年で卒業した学生も多かった。

学年の表、裏をやってもなかなか学生は卒業できなかったのだと聞く。そういう学校はいまではなくなり、入学させた学生はよほどのことがないと卒業させている。これは日本の社会が再挑戦をあまり認めない社会だからである。

いつかアメリカ人の英語の教師から聞いたことだが、アメリカでは評価は厳しいが再挑戦の機会はふんだんに与えられるのだという。そこら辺が国民性の違いかもしれないが、根本的にちがう。日本社会としては再挑戦を許すようにならないといけない。

最近では一度非正規雇用者が一度解雇されると再挑戦して再雇用される可能性が事実上なくなってしまっていると憂いている識者は多い。


Kittelとは仕事着の意

2011-03-03 12:00:53 | インポート

Charles Kittel はカリフォルニア大学バークレイ校の教授で、固体物理学を専門とする著名な物理学者であった。

まだ存命なのかもう存命ではないのかは存じないが、固体物理学専攻の学生なら誰でも知っている、キッテルの「固体物理学」上、下(訳)(丸善)の著者である。

この著書は有名な書であり、固体物理学の書として世界的に代表的な書籍である。私が学生だった頃はこの本の第2版のアジア版が英語で出ていたが、いまでは出ていないようだ。

私自身はこの本の原本Introduction to Solid State Physics (7th ver.) 1996を大学生協で購入してもっており、この書の訳も第7版を出版社の丸善から寄贈されてもっている。これは私が10年近く大学院の博士前期課程の講義でテキストとして使っていたためである。

もう、大学を退職してこのキッテルの「固体物理学」のテキストとも遠ざかっていたが、知人に頼まれて中国人の学生の勉学のお手伝いをすることになったら、実はこの学生がもって来たのがこのキッテルの本のコピーであった。それで、昔のノートを引っ張り出してきてこの学生の要望に応えようとしている。

その手伝いはこれからのことなので、どのように展開がされるのかは今のところはわからない。今日の話のメーンとなるのはこのことではないが、まったく無関係でもない。

先日、ラジオのドイツ語講座「まいにちドイツ語」を聞いていたら、Dr. Kroll hat keinen Kittel getragen. (クロール先生は白衣を着ていなかった)というのがあった。

この講座は前年にもあったので、今回は昨年の再放送で2回目なのだが、この中のKittelというのが「仕事着」というのを先回のときにも注意して覚えようとしたが、忘れてしまっていたことに気がついた。

それでkittelという語を再度覚えなくてはと思ったのだが、その後にキッテルの固体物理学の本を留学生との関係で見ることになった。だが、これがドイツ語で聞いたKittelとはすぐには結びつかなかった。

昨日やっと著名な学者のKittelはドイツ語の仕事着という意味だということとやった結びついたというわけである。

そういえば、ドイツ人の学者にZimmermanという有名な物理学者がいるが、このZimmermanは大工という意味である。彼はドイツでは尊敬されているのだと物理学者のTさんがドイツから帰って来たときに言っていた。

EinsteinとかGl"uckとか日本人に分かりやすい姓を持つドイツ系の物理学者がいるが、これらの人々はユダヤ系であることが多いような気がするが、統計的に調べた訳ではないので単に印象にしかすぎない。