物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

on readingから

2011-03-21 15:02:09 | 本と雑誌

朝日新聞の日曜日の読書欄に吉本隆明氏のインタビューの2回目が昨日の3月20日に載った。それで興味深かった点を書く。

吉本氏が考え続けてきたことに、切実な私事と公、どちらを選ぶべきかというのがあった。ロシア革命を指導した、レーニンが歳をとって病に伏し、妻は看病するが、スターリンはレーニンに対し、おまえの妻は党の公事をないがしろにしていると批判する。そこから二人の対決が始まる。

家族の看病や家族の死といった切実な私事と、公の職務が重なってしまったとき、どっちを選択するのが正しいのか。東洋的、スターリン的マルクス主義者であれば公を選ぶの正しいというだろうと吉本氏はいう。

だが、吉本氏はマルクスは唯物論でなんでも白黒をつけてしまえという論者とは異なり、肉親が死んだときの寂しさ、闘病のつらさといった切実なことは、公の利益のよさといったこととは別のものだということを「芸術論」で言っているという。

この見解を知ったことは驚きであった。ここに引用した以上のことをこの吉本氏は言っているが、ここでの引用はこれぐらいにしておこう。

マルクスなんて言うとその名を聞いただけで、拒絶反応を起こす人もいるかもしれいないが、聞く耳を持たない人ももう少し許容範囲を大きくしてほしい。