日本はhigh techlandだと思っていたが、その認識は改めねばならないかもしれない。
こういうことを思ったのは東日本大震災のときに漁業や農業がかなり壊滅的に破壊されて東北の漁業なり、農業が大打撃を受けたということをテレビでこれでもか、これでもかと見せつけられたからである。
もっとも物理学者の武谷三男は農業が一番太陽を利用したハイテクだとかつて言ったことがあるように、ある意味では農業はハイテクだと言ってもいいのではあるが、それでもテレビの報道を見ていると日本の一次産業は衰退どころか結構頑張っていることを認識させられた。
漁業も森が肥沃でなければ、漁業も豊富にはならないとは最近の知見である。
東日本震災でもう一つわかったことは、世界は一つにつながっているということであった。これはルネサステクノロジーの半導体製造が止まって、そのために世界の自動車の生産が完全に止まらなかったというものの、大打撃を受けたことであって、これによってほんとうに僅かの数社の半導体の製品に自動車工業が深く依存しているかということがわかったことであった。
それとこれはこの東日本震災の前に聞いた湯浅誠の話だが、彼が愛媛大学で講演したときに聴衆の中から質問があって、それはほとんどの日本の産業が法人税が高いと海外に出てしまうのではないかと心配をした質問だったが、湯浅は約1億人の人が日本に住んでいる現状から考えてすべての工業的な会社が海外に出てしまうという危惧は企業の言い草であって、そういうことはないと言い切ったのはやはり卓見だと思った。
もちろん、人件費が安いという理由で出て行く企業が多いとは思うが、こういう人件費の差でようやく成り立つ企業とはなんと頼りない企業だろと思うのは私だけなのであろうか。
しかし、日本では教育が普及してはいるが、それにしてももっと高等教育を多くの人が受けるようになり、そして人件費の差で勝負をするような企業を駆逐してしまわねばならないと考えていた、私の理想は全く絵に描いた餅なのであった。
だが、やはりそういう現状が望ましいはずがないと思う。知的財産を蓄積できて、技術的にも他の国の追従を許さないくらいにならなければ、日本の将来はないと思っている。それで、さしたる資源のない日本には科学や技術の振興が大切なはずである。そのための基礎的な学問が必要とされると思ってe-Learningの作成にいそしんでいるのに、現実との落差は大きい。