スプライン関数は補間法に関係がある。
これに関心を持つようになったきっかけはもともとガウス積分法という数値積分法に関係している。
ニュートリノという粒子が陽子にあたって起こる反応の断面積を計算していたのだが、もちろん最後の段階で数値積分をしなければならなかった。ところがその数値積分がうまくいかない。
それで数値積分のしかたの検討から、その基礎になっている補間法に関心を持つようになった。その中の一つにスプライン補間があり、それでスプライン関数を知った。
スプライン関数にはいろいろなものがあるが、実際に私たちがその後使ったのは自然スプラインといわれるもので、変数の区間ごとに3次式で近似した関数であった。もちろん区間のところでつぎの区間と滑らかにつながるようになった区間3次式である(付記 参照)。
あるスプライン関数の(日本語の)本を読んで、その意味するところをようやく読み解き使った。これを使ってMilne法という古い微分方程式の固有値を求める方法に使うという数値解析的な仕事をした。
これは4編ほどComputer Physics Communicationsというオランダで発行されている雑誌に発表された。
もともとこのMilne法で固有値を求める方法は学習院大学の江沢先生たちが紹介された方法であったが、それをスプライン関数を使って少し改良した計算法となった。
シュレディンガー方程式の固有値は問題なく求まるが、それをさらに一般のSturm-Louville型微分方程式の固有値に実際に使ってみることが、私たちの目的だった。
大抵の場合に精度のいい固有値を求めることができるが、それでもすべての場合に成功という訳にはいかなかった。成功しない場合をなんとか定年までに解決するつもりだったが、まだ未解決のままとなっている。
(2013.1.18 付記) スプライン関数についてのやさしい説明を知りたい方は小著『数学散歩』(国土社)で述べてある。
これはもう出版元でも品切れであり、再版の予定はない。google bookで、もしこの該当箇所を見ることができれば、それをコピーして読んでほしい。またはciiniで所蔵図書館を調べて遠隔貸し出しで、借り出してコピーをして読んでください。
読むのにほんの数日(1週間はかからない)はかかるかもしれないが、きっと誰でもその気になれば、読みきることができるはずである。
もっともこのエッセイでスプライン関数の全貌がわかるわけではなく、自然スプライン関数の説明にしか過ぎないことをお断りしておく。