物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

「原発は滅びゆく恐竜である」

2016-02-18 15:37:22 | 日記
というタイトルの水戸巌さんの本を県立図書館で借りてきた。緑風出版から2014年に出版されている。

水戸さんは物理学者だったが、原発にはことに厳しい目を向けていたらしい。その53年の生涯に結構な反原発の論文を書いたり、講演をしたりしている。私は高木仁三郎さんの著作集を買ってもっているが、水戸さんもいろいろなことを書いていたらしい。

物理学者が自分の専門の研究をしながら、かつ反原発活動をするということは楽なことではない。高木さんとも水戸さんは原子核研究所時代に多分同僚でもあったろうから、そういう意味では気心が通じていたのであろう。

一方で、山が好きで登山を好んでいたらしい。彼と彼の二人の子息との山での遭難はまだ耳に残っている。水戸さんは私の友人の N さんの大学時代の先生の一人でもあった。

この書は私の武谷三男の文献検索から見つかったもののひとつである。この中に短いものではあるが、武谷の水戸さんは「最も謙虚で最も勇敢な人であり、権威を求めなかった」という評が書かれている。ということで期せずして武谷三男著作目録への追加が一つできた。

この機会に改訂が延び延びになっている、「武谷三男著作目録」第5版(第4版は「素粒子論研究」電子版に発表済、第5版も同じところに発表予定)を作成してはどうかと思っている。すでに準備はしているが、追加すべき文献がかなり多数になってきているので、時間がかかりそうである。

国会図書館の文献検索にかなりその後の文献とか未見のものがありそうなのである。もっとも国会図書館の検索には載っていない情報を私の目録には載せているつもりである。

「思想の科学」私史

2016-02-18 12:23:09 | 日記
を昨夜1時過ぎまでかかって読んだ。特に新しい発見はなかった。というのも大抵はどこかですでに鶴見さんが書いていたり、語っているような気がしたからである。

だが、やはり彼が語るとやはり歴史の証人としての重みが違う。ちょっと新しさがあると思ったのは「思想の科学」の前史として「世界文化」とか「土曜日」とかがあるという何回も聞いたり読んだりした、指摘よりも自分自身にもアメリカでの勉学だけではなく日本に帰って来てからの日本人を恐れていたという心の前史を今更ながら認めたことであった。

これが共同研究「転向研究」へと導いた動機でもあったとか。すでに名のあった人が転向研究をはじめる会にこられて「非転向」研究なら参加するのだがとか言ったというこぼれ話が出ていた。

転向研究だから興味深いという視点がこのすでに名のあった人たちには欠けている。そこらが鶴見さんが長年にわたって多くの書き手を見つけた理由でもあろうか。

これは鶴見さんとは全く関係がないけれども村上密牧師が破壊的カルトのマインドコントロールを学ぶのに鶴見さんたちの研究「転向」を参考にしたというのは村上さん自身から語られると、学問とか方法とかも深いものだなと感心をさせられたものである。

ここに村上密さんたちの戦略的なオリジナリティがある。それだけではなく彼が常に戦略的な思考をしていることが彼を他のカウンセラーよりも一段と高い位置においている。鶴見さんは破壊的カルトのマインドコントロールの研究に自分たちの転向研究が役立っているとは終生そのことを知らなかったかもしれないが。