全国につくられた橋やトンネルの数はかなりの数に上る。それらの多くが前の東京オリンピックのころ(1964年)につくられた。それでそろそろガタが来ており、それらを保守したり、補修したり、新しいものに代えなければならない。
ところが、いままでたとえば、トンネルだとトンネルの天井の壁をハンマーでたたいて変な音がすれば、そこの箇所がいかれているというような手仕事による診断であった。これは人数もいるし、なかなか手間のかかる仕事である。同じようなことは橋についても行わなければならない。
ところが、先々週のNHKの「サイエンスゼロ」の放送では橋とかトンネルとかのレーザー光やX線または超音波による自動的な検査装置がいま開発されてきており、人手のかかる打音検査から解放されるときも近いという。
日本の技術水準からするとこういうことがもっと早く考えられてもよかったはずだが、それでもようやくにしてそういう装置が開発されるための基礎研究がされるようになった。将来が楽しみである。
橋とトンネルの数を比べるともちろん、橋の数が圧倒的に多い。どれくらいの数だったのかは覚えていないが、百万のオーダーではなかったと思うが、数十万のオーダーではあろう。トンネルはさすがに橋ほど多くはなかったが、それでも十万まではいかなかったと思う。
もしか、トンネルの天井とか橋の損傷個所の深さとかを知りたいならば、ホログラフィーの技術を使うことも考えられれるが、そこまで検査装置は精密でなくてもよさそうであった。
昔、大学に勤めていたときに上司の教授が集中講義に呼ばれた講師の方が、非破壊試験のエキスパートであった。そして、原子炉の壁とかタンカー等の船舶の鋼鉄製の船壁の損傷個所を調べるためにX線による被破壊検査装置の進歩は素晴らしいと聞いたのはもう何十年も前である。それがようやくトンネルとか橋の損傷個所の検査に役立つ時代になってきたのはめでたい。