野田・岡田内閣が2012年1月13日(金)午後2時に親任式を受けてから、1日以上が立ちました。少し、城山三郎さんの『男子の本懐』、浜口雄幸・井上準之助の民政党内閣に似ているのかなあという気がします。
『男子の本懐』で印象的なのは、東京駅と駒本(こまほん)小学校。東京・文京区の駒込と本郷の間にある「駒本(こまほん)小学校」。少子化の影響で廃校になる予定だったようですが、地元住民の方の運動で存続しました。東京駅は3階建てにパワーアップ工事中。およそ100年経っても、残っています、それが政治です。
[写真]男子の本懐のラストシーンに出てくる駒本小学校、2008年ごろ?、筆者撮影。
14日(土)の田勢康弘の週刊ニュース新書で、野田佳彦さんは「政権交代してからあっという間で、日々格闘している」としました。田勢さんは岡田克也さんについて、「岡田さんは人間関係で物事を決めない極めて珍しい政治家だ」と評しました。そして消費税増税と反増税は二項対立ではなく、
「それぞれの政治家の心の中の敵との闘いだ」
と総理は言いました。
岡田副総理は13日午後7時ごろ、首相官邸での就任記者会見で、閣僚の記念撮影の後のカンパイの音頭を岡田さんがとったことを明かして、「この内閣は未来に対し、極めて大きな責任をもっている」と述べました。その後の、内閣府(たぶん合同庁舎4号館の方だと思います)での記者会見では、「日本が沈みつつあることを実感している。これに歯止めをかけて、将来の若い世代が希望と期待をもって、生活できるようにしなければならない」と述べました。
野田総理も14日午前11時のニュース新書で、「この国に生まれてきて良かったと思える国にして、この国で暮らしていきたい、と思える国にする」としています。
二枚看板は、長期的な財政展望だけでなく、この1月の新年会での経営者の年頭所感などを聞いて、短中期的な景況感にもすぐれているという感想(私の景況感と一致しているという意味)を持ちました。
余裕のない日本、岡田さんは、官邸に入る1時間前に、「岡ダッシュ(岡田さんの全力疾走)」を見せました。岡ダッシュは、街頭演説会の応援弁士として入る際に、時折見せる演出で、岡ダッシュのルートは、事前に地図をみた岡田さんが選んで、担当者に指示している、ということもあるようです。
岡田さんは午前10時55分、突如、衆院第1議員会館を飛び出し、地下道を岡ダッシュ。事務所、警備などのおつきは一切おらず、記者十数人が一緒に走りました。国会閉会中で上京議員がほとんどいないので、変な目で見る人はまったくいなかったように見受けられました。そして、第2議員会館の民主党政策調査会の会議室に午前11時ギリギリで入りました。
[写真]民主党行革調査会コアメンバー会議、2012年1月13日(金)午前11時、衆議院第2議員会館、筆者撮影。
ここでは、行革調査会のコアメンバー会議が開かれました。岡田さんの隣は、階猛さん、手前は1期生の岡田康裕さんと玉木雄一郎さん、向側が津村啓介さんです。行革調での役職は階さんは事務局長(兼)行政管理・効率化ワーキングチーム座長、岡田康裕さんが決算・行政監視ワーキングチーム事務局長、玉木さんが特別会計改革ワーキングチーム事務局長です。岡田康裕さんは兵庫11区で渡海紀三郎・自民党支部長(元文科相)との前哨戦マッチレースを闘っており、万難を排しての上京でした。会議は、藤村修官房長官の閣僚名簿読み上げ記者会見が始まっても続きました。会議が始まって30分頃には、津村さんが会場内から「民主党行政改革調査会コアメンバー会議なう。話題の人、岡田克也会長もご出席。業界や役所の意向がにじむ一部の部会報告に対し、厳しい叱咤と注文を連発されている。岡田さん、エンジン全開という感じ。政府の中枢で、ぜひ行政改革を大きく進めてほしい。」とツイートしました。
岡田さんは官房長官会見が終わった11時55分ごろ、会議室を出て、同会館から直接、官邸に向かいました。この際は、衆議院事務局が所有し衆議院職員が運転する「民主党・無所属クラブ」割り当ての公用車を予約して、乗っていったようです。さすがに岡ダッシュで官邸に向かうことはありませんでした。
[画像]改造内閣のねらいを記者会見する野田総理をみる、岡田副総理、政府インターネットテレビからキャプチャ、2012年1月13日午後6時ごろ、首相官邸。
岡田副総理は、執務室を総理、官房長官、副長官らと同じフロアに持つことになったようです。秘書官は、政務秘書官に加えて、総務省、財務省、厚労省、内閣府から1人ずつ出向したようです。総務省出身者が行政管理庁・総務庁採用者なのか、内閣府出身者が総理府採用者なのかどうか分かりません。旧大蔵省と旧自治省、財務省と厚労省、厚労省と総務省自治3局などは霞が関でも仲が悪くて有名なので、秘書官同士の連携が気になるところ。出身省ではなく、歴史に仕えているのだという気構えがほしいです。歴史に見られているのだと。岡田さんはこれまで、外務省という1つの会社の政務三役の経験しかありません。複雑に利害が絡み合う内閣官房や内閣府の職員裁きは未体験です。岡田さんというのはマルチタスクが苦手なので、懸念材料です。ただ、岡田さんは民主党幹事長(第3期)のころに、小沢一郎先任幹事長による「剛腕」な人事異動を踏襲しながら、小沢系職員を幹事長室から選対に移す一方で、小沢選対の論功行賞者である事務局長に、党広報委員会の事務部長を兼ねさせています。党広報委員会はテレビCM、新聞広告などをめぐる広告代理店とのつきあいの関係から、総選挙時には数十億円という莫大な「利権」(しかも政府ではないので規制法がない)がありますが、岡田幹事長は小沢先任幹事長が昇格させた事務局長を信頼できる人物として、兼務させたとみられます。このように、小沢系とされていても、やんわり配置換えしたり、逆に重要なポジションを任せたりします。岡田さんの部下は一定の緊張感を強いられますが、そもそもゴマすりはばれるし、人を見る眼があるので、いずれにしろ、なるようにしかならないので、思い切って仕事をすればいいのではないでしょうか。ただ、岡田副総理は、いったん人を信頼すると、あまりにも信頼しすぎてしまいます。だから仲が良かった小沢一郎さんや河村たかしさんに裏切られたときには凄まじい怨念で復讐に出るのでしょう。しかし、国家国民のために奉じていれば、なじられることはないので、部下は思い切って仕事ができる、と私は岡田副総理を見ています。
岡田副総理は、14日(土)も内閣府(たぶん合同庁舎4号館の方)で6時間ほど、ブリーフィングを受けました。15日(日)は朝9時から15分ほど、「NHK日曜討論」に出るので、注目です。16日(月)は自民党の大島理森副総裁や、石原伸晃幹事長にあいさつに行きます。ところで、岡田さんは1993年6月の自民党離党後、一回も自民党本部に入ったことがなく、月曜日のあいさつが国会内になるのか、自民党本部内になるのか注目しています。
とにもかくにも、日本のおかれた現状を考えたら、岡ダッシュ!
私たち良識ある有権者、オピニオン・リーダーも、有権者の半数以上を説得できるよう、ダッシュです。もうかなりデッドラインは近づいてきています。
NHKニュースによると、菅直人さんがきょう、原発事故調査委員会のヒアリングで、元検事総長・但木敬一さんらのヒアリングを受けたそうです。すべて政治家は歴史に見られていて、経験を語るのは歴史への責任です。あと数回ヒアリングがあるそうです。菅総理もしっかりと洗いざらい素直に、いっさいの嘘なく、話して欲しいと考えます。
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