通常国会召集前なのに忙しくて、与党というのは、豆腐屋さんのように店開きの前の仕込みが大事なので、タイヘンだなあと感じます。
2012年1月15日付の東京新聞政治面(4面)に日曜コラム「時代を読む」。東大法学部名誉教授で元東大総長の佐々木毅さんが第46回衆院選について、新しい国勢調査(2010年10月1日実施)「に基づいて定数是正を行わなければならないが、延び延びになっている。国会がこれまでの惰性を引きずり、裁判所の姿勢を甘く見るのは重大な結果につながりかねないというのが私の見解である。仮にも選挙の無効などということになれば、議会制は事実上崩壊につながることになろう」として、定数是正なしに第46回衆院選を行った場合、「選挙の無効」があり得ると警鐘を鳴らしました。
最高裁判所大法廷は、平成22(行ツ)207号事件(選挙無効請求事件)で、平成23年3月23日(水)、に請求を却下しながらも、内閣府の「衆院選区割審」設置法の「衆院定数の47都道府県への基礎配分を1与えるとした1人別枠方式」について、憲法違反として、改善されない場合はいずれは選挙の無効もあり得ると強く警告しています。
この判決文は、下のリンク先から、全文取り出して読むことができます。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=81179&hanreiKbn=02
この判決と同時に、内閣府におかれた区割り審(衆議院議員選挙区画画定審議会)の村松岐夫・京大法学部名誉教授らは、10年に1回の区割り変更の作業をストップしています。区割り審は、1人別枠方式を廃止したうえで、さらに2010年国勢調査の結果を反映した300選挙区の区割りを、2月24日(金)までに内閣総理大臣に勧告し、そのままの内容を衆議院と参議院で改正公職選挙法として成立させなければなりません。ただ、その下となる区割り審設置法の第3条第2項から「1人別枠方式」の条文を削除し、第4条(勧告期限)の見直しを速やかにやる必要があります。さもないと、4月22日(日)に衆議院の補欠選挙があった場合(現在は予定はないが、3月15日までに小選挙区選出議員に死亡や辞職があった場合は実施される)は、選挙無効に関する最高裁特別抗告がおきると思われます。
また、区割り見直しがないまま、衆議院解散をするのは、サンフランシスコ講和会議に出席した国民協同党総裁だった苫米地義三・衆院議員が起こした裁判での「統治行為論による事情判決」から、解散そのものは有効だと考えられます。しかし、第46回衆院選が無効となる特別抗告があれば、日本に衆院議員が一人もいない状態が長期化する可能性があり、首班指名もできなくなります。当然、歳費ももらえません。
このような極めて重要な状態です。
百里の道も一歩から。国家百年の計が見える政治家は、本来こういった足もとの課題も処理できると考えます。
まずは、0増5減の細田案で、定数是正を速やかに衆参で成立させる。定数削減はそれから再度仕切り直すべきだと私は考えています。
平成5年の細川内閣による政治関連3法(改正公職選挙法、改正政治資金規正法、政党助成法)を実現し、小選挙区2大政党制を日本に実現させた民間における最大の功労者は「民間政治臨調」(亀井正夫会長)です。佐々木さんはその後継組織である「21世紀臨調」の主要メンバーであり、選挙制度には極めて強い影響力を持っています。政権交代後の2009年秋には民主党幹事長だった小沢一郎さんから国会法改正案などに関する素案作りを依頼されています。
小沢一郎さんの支援を受けて2010年6月の第13回民主党代表選(与党としては初の代表選)に出馬した樽床伸二・幹事長代行が各党協議会にのぞんでいますが、まとめられず、日本のデモクラシーの重大な危機が続いています。
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