ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

「次期衆院選は無効」か 東大法学部名誉教授・元総長の佐々木毅さんが警告

2012年01月15日 23時11分24秒 | 第46回衆院選(2012年12月)大惨敗


 通常国会召集前なのに忙しくて、与党というのは、豆腐屋さんのように店開きの前の仕込みが大事なので、タイヘンだなあと感じます。

 2012年1月15日付の東京新聞政治面(4面)に日曜コラム「時代を読む」。東大法学部名誉教授で元東大総長の佐々木毅さんが第46回衆院選について、新しい国勢調査(2010年10月1日実施)「に基づいて定数是正を行わなければならないが、延び延びになっている。国会がこれまでの惰性を引きずり、裁判所の姿勢を甘く見るのは重大な結果につながりかねないというのが私の見解である。仮にも選挙の無効などということになれば、議会制は事実上崩壊につながることになろう」として、定数是正なしに第46回衆院選を行った場合、「選挙の無効」があり得ると警鐘を鳴らしました。

 最高裁判所大法廷は、平成22(行ツ)207号事件(選挙無効請求事件)で、平成23年3月23日(水)、に請求を却下しながらも、内閣府の「衆院選区割審」設置法の「衆院定数の47都道府県への基礎配分を1与えるとした1人別枠方式」について、憲法違反として、改善されない場合はいずれは選挙の無効もあり得ると強く警告しています。

 この判決文は、下のリンク先から、全文取り出して読むことができます。

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=81179&hanreiKbn=02

 この判決と同時に、内閣府におかれた区割り審(衆議院議員選挙区画画定審議会)の村松岐夫・京大法学部名誉教授らは、10年に1回の区割り変更の作業をストップしています。区割り審は、1人別枠方式を廃止したうえで、さらに2010年国勢調査の結果を反映した300選挙区の区割りを、2月24日(金)までに内閣総理大臣に勧告し、そのままの内容を衆議院と参議院で改正公職選挙法として成立させなければなりません。ただ、その下となる区割り審設置法の第3条第2項から「1人別枠方式」の条文を削除し、第4条(勧告期限)の見直しを速やかにやる必要があります。さもないと、4月22日(日)に衆議院の補欠選挙があった場合(現在は予定はないが、3月15日までに小選挙区選出議員に死亡や辞職があった場合は実施される)は、選挙無効に関する最高裁特別抗告がおきると思われます。

 また、区割り見直しがないまま、衆議院解散をするのは、サンフランシスコ講和会議に出席した国民協同党総裁だった苫米地義三・衆院議員が起こした裁判での「統治行為論による事情判決」から、解散そのものは有効だと考えられます。しかし、第46回衆院選が無効となる特別抗告があれば、日本に衆院議員が一人もいない状態が長期化する可能性があり、首班指名もできなくなります。当然、歳費ももらえません。

 このような極めて重要な状態です。

 百里の道も一歩から。国家百年の計が見える政治家は、本来こういった足もとの課題も処理できると考えます。

 まずは、0増5減の細田案で、定数是正を速やかに衆参で成立させる。定数削減はそれから再度仕切り直すべきだと私は考えています。

 平成5年の細川内閣による政治関連3法(改正公職選挙法、改正政治資金規正法、政党助成法)を実現し、小選挙区2大政党制を日本に実現させた民間における最大の功労者は「民間政治臨調」(亀井正夫会長)です。佐々木さんはその後継組織である「21世紀臨調」の主要メンバーであり、選挙制度には極めて強い影響力を持っています。政権交代後の2009年秋には民主党幹事長だった小沢一郎さんから国会法改正案などに関する素案作りを依頼されています。

 小沢一郎さんの支援を受けて2010年6月の第13回民主党代表選(与党としては初の代表選)に出馬した樽床伸二・幹事長代行が各党協議会にのぞんでいますが、まとめられず、日本のデモクラシーの重大な危機が続いています。

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陛下、「2012年1月24日召集」の第180通常国会の召集の詔書を発布

2012年01月15日 20時53分08秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[写真]新年一般参賀(この日3回目)にのぞまれる両陛下、2012年1月2日、皇居宮殿、宮内庁ホームページから。


 天皇陛下は13日、詔書を発せられました。「日本国憲法第七条及び第五十二条並びに国会法第一条及び第二条によって、平成二十四年一月二十四日に、国会の常会を東京に召集する。」1月13日の閣議で決定し、13日付官報に載りました。詔書には内閣総理大臣の野田佳彦さんが副署しました。



 ところで、独立行政法人国立印刷局は、定期的な停電による設備のメンテナンスとして、金曜日から日曜日昼まで、「インターネット官報」の提供をとめていました。事前のメンテナンス日程とはいえ、国会法第1条は通常国会は召集の10日前までに召集詔書を官報に載せなければいけないとしているのですから、この時期だということは分かるはず。あまりにも、トータルデザインに欠いた組織運営と言わざるを得ず、これなら、以前のように財務省印刷局に戻した方がいいように感じます。

 とはいえ、国会法の規定などから、この日の閣議で通常国会召集の詔書を決定しなければいけないのは確実でしたから、この日に内閣改造もあわせた野田さんの政治センスは優れていると感じます。この日曜日からは民主党の2012年定期党大会(北澤俊美実行委員長)の全国幹事長会議、全国政調会長会議がおこなれ、あす1月16日には党大会で、規約と代表選挙規程を改正します。しっかりと準備を整えて、さあいよいよ通常国会の幕開けです。

 第180通常国会は、2012年1月24日(火)召集で、会期は150日間なので、6月21日(木)が会期末になります。この150日間には、統一地方選などの大型選挙は予定されていません。おしりに参院通常選挙もありません。また、4月22日(日)の衆議院・参議院の統一補欠選挙も現在は欠員がいませんので、このまま3月15日(木)までに選挙区選出議員の死亡や、首長選転出や不祥事による辞職がなければ、行われない見通しです。ですから、じっくり、たっぷり、ローメーカー、法律工場としての仕事に専念できます。それが再選への近道であることは言うまでもありません。あるいは与党内野党(小沢グループ)は地方選も代表選も参院選も何もないので、この国会中に党内主導権を取り戻すチャンスはありません。

 衆議院規則1条は「議員は、召集詔書に指定された期日の午前十時に、衆議院に集会しなければならない。」としています。参議院規則1条もほぼ同内容です。このため、衆議院インターネット審議中継では、24日の本会議は「10時に開議」と表示されますが、実際には定刻通り午後1時に始まるケースが多いです。参議院は規則通り、午前10時から本会議を開き、内閣改造などによる、委員長人事など「院の構成」からスタートし、休憩。衆院本会議で、野田佳彦首相と安住淳財務大臣が「今年度第4次補正予算案」提出に関する演説をした後、参本でも同内容の演説をすることになります。

 この日の官報では内閣改造の人事も載っています。こういうのを見たいのに、2日間も官報が見られない状態とは、一事が万事、たるんでいるという気がします。景気対策のためには、まずは「国のしくみを直していく」ことが肝要だと感じます。


 

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