渡辺恒雄あとつぎ宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

菅直人改造内閣スタート 民主党は「会社型」、自民党は「町内会型」

2012年01月01日 00時00分00秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議
 菅直人首相は、2010年9月17日、内閣改造に踏み切りました。定期代表選で2012年9月までの任期を得たことに伴うもので、補充を除けば、内閣改造は民主党結党以来初めての経験となります。

 印象から言うと、野党時代からよく耐え、よく頑張ってきた人が順当に評価されています。ただ、それは野党経験が長く、与党経験が短いことの裏返しでもあります。けっして虚勢を張らずに「分からない」「いやーっ、自民党はこんな大変なことをしていたのか!」と正直に心情を吐露するクリーンでオープンな菅民主党丸を期待します。

 こうやってみると、自民党内閣は「町内会型」で、民主党内閣は「会社型」だな、と思います。

 自民党は派閥ごとに当選回数順の初入閣・再入閣適齢期の議員のリストを提出して、その中から、首相・官房長官らが選ぶ格好になっていました。今回は、菅さんが官房長官らと相談して、各グループ、衆参のバランスも考えながら、過去の人事評価シートをアタマに浮かべながら、適材適所で選んだという感じがします。

 改造内閣の顔ぶれをみると、自民党が1年交替の「町内会の役員人事」という風情があったのに対し、民主党は、配置換えと副大臣からの昇格人事という「会社型内閣改造」という雰囲気がします。

 
[画像]第1次菅改造内閣の顔ぶれ(朝日新聞)。院替え参院議員の衆院当選回数は私が書き加えました。

【鹿野道彦さんが21年ぶりに農相復帰】

 まず、「会社型」でない意外な例では、なんと言っても鹿野道彦さんが21年ぶりに農相に復帰したことです。1989年8月の第1次海部内閣以来です。そのときは、いわゆる「自民党の小沢一郎剛腕幹事長」がTVに登場しだしたあのとき以来の農相です。

 鹿野さんは民主党では珍しい自民党清和会(福田派)出身で40日抗争にも参加しています。その後、1989年農相、1992年宮澤内閣で総務庁長官。そして、政治改革の志から「新党みらい」の船に乗り、新進党に移りました。新進党解党後は、「国民の声」「民政党」のイカダに石井一さん、岡田克也さんと乗り込み、民主党に参加しました。2003年~2004年には、菅代表・岡田代表のもとで「ネクスト農相」として、現在農林副大臣の篠原孝さんの「農業者戸別所得補償」を採用しました。

 捲土重来を図った第45回衆院選では、岡田幹事長がチャータージェット機で山形空港に乗り込み、「政権交代後の閣僚候補だ!」と応援演説しました。おなじ省のリアル大臣→ネクスト大臣→リアル大臣というのは鹿野さんが初めてだと思われます。鹿野さんは山形県内の農政通として、自民党宏池会の加藤紘一さんと比較されることが多かったのですが、「政治改革の志」を貫いた分、意外や意外といっては失礼ですが、歴史に名を残す政治家は、鹿野さんの方になりそうです。

【昨年9月から同じ役所のトップを続けるのは最年長・北澤防衛相だけに】

 自民党国会議員経験者は鹿野さんのほか、防衛大臣の北澤俊美さん、そして国民新党の自見庄三郎さんと3人だけになりました。北澤さんは、昨年9月16日の鳩山内閣発足から、同じ省を担当しつづける唯一の大臣となりました。普天間と言うよりは、防衛大綱の改定が11月めどに控えていて、これは向こう数年というか、装備品の方針転換があれば、数十年の予算に影響を及ぼすものです。大臣就任時には、マスコミから失言を引き出そうと狙われていた気配があり、私はこのブログの中で「俊美さんは酔拳のオッサンのような人だから失言でクビはとれない」と指摘してきましたが、その通りになりました。防衛省の官僚の話をよく聞き、自衛隊の儀礼に対してていねいにアタマを下げる最年長閣僚。防衛省・自衛隊のみなさん、ラッキーですね、ですよね?

【前原さんの外相横滑りと副大臣昇格の順当な人事】

 菅内閣発足のときは、総理の後釜として、野田佳彦さんが副大臣から財務大臣に昇格しました。幹事長に転じた岡田克也さんの後任外相には、前原誠司さんが横滑り。まさに順当な人事という奴です。そして国土交通大臣には馬淵澄夫副大臣が昇進しました。当選3回生ですが、党内若手への影響力の高さからすれば、納得です。

 また、厚生労働省では、4回生の長妻昭大臣を「労働担当副大臣」として支えた当選7回生の細川律夫さんが昇格しました。これを長妻さんが更迭されたとみる向きもあるでしょうが、この1年間で、「消えた年金記録」の修復は進んできていますから、「一に雇用、二に雇用、三に雇用」へ厚労省へのシフトが細川さんの大臣昇進で明確になったというとらえ方を私はしています。

【労組出身者も絶妙な配置】

 民社協会からは川端達夫文部科学相にかわって高木義明(タカ・ヨシアキ)さん、拉致問題担当大臣が中井洽さんから柳田稔さんに変わりました。向こう6年間の安定した参院任期を持つ柳田さんは法相も兼ねます。この辺の人事も興味深いところです。高木さんは、三菱重工業長崎造船所という、明治維新直前にできたニッポンの誇りともいえる造船所のはたらく仲間の代表ですから背中でモノを勝たれる人です。前任者の川端文科相と同じく民社協会で、日教組はいわゆる旧総評系で、まあ敵というか味方というか、難しいですが、その辺のバランス感覚が期待できそうです。

 民社協会参院議員の直嶋正行さんから、中立労連・日立製作所出身で、鳩山グループ会長の大畠章宏さんが経済産業大臣になります。とくに、ベトナムの原子炉トップセールスでは、日立・東芝・三菱重工業などの重電3社と政府の取り組みについて、来月、日越首脳会談で回答がきますので、ドキドキです。なお労組出身の高木文科相は64歳、大畠経産相は62歳で、同期入社の仲間が定年退職を迎えている、ということで、早めに入閣したい、つまり、同期が定年退職したんだから、そろそろいいんじゃないか、と小選挙区で言われる可能性にも配慮したのかもしれません。労組系は選挙は楽だとされますが、60歳を過ぎるとなかなか大変です。だから、高木、大畠両大臣は、1生に1度の仕事だと割り切り、思いっきり政府のムダを切って切って切りまくって欲しいです。

【松本龍さん、岡崎トミ子さんらもきっちり抜擢】

 当選7回生59歳の松本龍さんが環境大臣兼防災担当大臣になりました。少々驚きました。というのは、野党時代から福岡1区で小選挙区を勝ち続けている力のある議員です。そして、「部落解放の父」である松本治一郎・元参議院副議長の孫です。それはすばらしいことです。しかし、松本治一郎が仲間の生活の安定をきずくために創業した建設会社はけっこうイケイケドンドンで、その辺で、松本さんの入閣は、当選回数を2桁ぐらいになってからなのかな、と思っていたからです。人柄はバツグンです!!

 松本さんは元衆院環境委員長ということで、環境通の岡崎トミ子さんは国家公安委員長兼消費者・少子化・食品安全などの担当大臣となりました。岡崎さんは長年、岡田克也さんをリーダー候補や気候変動の問題で支えてくれたので、私個人としてはうれしいです。もう66歳なんですね、おどろきました。

 総務大臣には、自治省出身の元鳥取県知事、片山善博さん。補助金の廃止(地方一括交付金)、出先機関の廃止(自治体への移管など)の2つに絞って、民間人なんですから、公務員の雇用を確保したうえで、あとは、切って切って切りまくって欲しいと思います。

【ひとつ懸念は経済・金融チーム】

 民主党では、閣議のほかに複数のメンバーで「閣僚委員会」をつくっています。普天間などの安保・外交チームは、前原外相、馬淵沖縄・北方担当大臣、北澤防衛相、仙谷由人官房長官というチームで精鋭揃いです。

 一方、経済チームです。この内閣改造で民主党は「未熟さのディスクロージャー」をしました。自民党時代の「経済・財政諮問会議」を廃止しましたが、このことにより、経済政策の司令塔が見えなくなっていました。これが他の閣僚が申し訳程度に兼務してきて経済財政政策担当大臣(経財相)として、海江田万里さんの起用につながったと思います。ただ、経済チームが、海江田経財相、野田財務相、大畠経産相、自見郵政改革・金融相、玄葉光一郎国家戦略相ということになると、この面々のつながりというは見えてこない。

 国会ウォッチャーとしてニッポンのためにはっきり言いますが、大畠経産相は、この人まったくの経済オンチです。野党の小沢一郎代表時代、ネクスト金融担当大臣として衆院財政金融委員会での質疑を聞いていてひっくり返りそうになったことがあります。リーマン・ショック直後の第170臨時国会(2008年10月29日)に大畠ネクスト金融相は、当時の自民党の財務・金融相(故人)に対して、次のように質問しました。「ところで、実は、書店に今は、この『ソロスは警告する』という本ですとか(中略)こういう本がマスコミ界で出回っているわけです。特にこの『ソロスは警告する』という本の中に、私も読ませていただきましたが、この方はもう七十歳を超える方でございますけれども、投資家でありまして、一兆数千億の資産を有するということですが、この方の回顧等を見ますと、経済を行う者は歴史を勉強しろ、歴史とそして哲学を持たざる経済はいずれ破綻するということが書いてあるわけです。この中に、去年の十二月書いたものですが、アメリカの市場原理主義による経済はいずれ破綻するということがもう既に警告として入っているわけですね」と。大畠大臣、「アジア通貨危機」って知ってますかと問いたくなる、分かる人にはズッコケの質疑でした。まあ、大臣には、知ったかぶりはやめてほしい。

 菅直人内閣が背負う重荷は18人だけで担ぐのではありません。412人だけでもありません。我が国は間接デモクラシーですが、私たち国民もあくまでも自分にできる限りで、政権の重荷を背負いましょうよ。

 菅内閣はクリーンでオープンを約束しています。それは国民との血の契りだ。だから菅内閣から出てきた情報は、熟議の材料としては最適です。ソクラテスのように、町で政治が語られる国に。ベトナム人民なんかも、何時間も新聞読みながらずっと議論していますよ。日本だって、がんばりましょう。太った豚より、むしろ痩せたソクラテスになりましょう。

【官邸の裏方さん】

 内閣官房副長官は、衆院が古川元久さん、参院が福山哲郎さん、事務が元総務事務次官の瀧野欣也さんが留任。内閣法制局長官は、梶田信一郎さん。それから、これは大事ですが、総理の政務秘書官には民主党本部役員室職員だった岡本健司さんが引き続き務めます。

 
【写真】岡本健司・菅内閣総理大臣政務秘書官(宮崎信行撮影)

 天皇の国事行為(衆院解散、国会召集)のときに皇居から国会まで陛下の詔書を運ぶ内閣総務官には、8月23日付で、原勝則さん(昭和54年厚生省入り)が就いています。4年間務めた前任者の千代幹也さん(昭和51年運輸省入り)は内閣広報官に昇進しています。 
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【与党のレッスン】小宮山洋子事務所の電話パンク「代表辞任発言」に抗議殺到

2012年01月01日 00時00分00秒 | 第171通常会(2009年1月~)自民党追い込まれ

[画像は25日放送のNHKニュース7からキャプチャ]

 民主党の小宮山洋子さん(東京6区)は25日、小沢一郎代表が前日の常任幹事会で続投を表明したことについて「政権交代にマイナスになる要素はなるべく避けて欲しい」「私はここはお引きいただくことではないかと思っています」と述べ、代表辞任を求めました。国会内で記者団の質問に答えました。

 この発言について、26日、小宮山さんの国会事務所に主権者からの抗議電話が殺到し、電話が鳴りっぱなしの状態になったことが分かりました。

 ふだんは1~2人のスタッフが常駐してるそうで、きょうは「お叱り」の電話でベルが鳴りっぱなし。ファックスは数件来たそうです。

 小宮山さんについては、ネット上の様々なサイトで抗議の声が上がり、「議員辞職を求めるメールを送ろう」という運動も始まっています。

 この件について、秘書は「真摯に受け止めて、対応を考えたい」としています。さすがにそこまでする必要はないでしょうが、批判の声は十分に小宮山さん本人に伝わったようです。

 ネット上での批判も把握しており、ネットではNHK出身と絡めた批判があがっているのは承知しているが、電話はそれとは関係なく、昨日の発言に対する抗議がほとんどだったとのことです。

 小宮山発言への批判。

Yahooの「みんなの政治」の小宮山さんの評価欄には、
http://seiji.yahoo.co.jp/giin/rev/index.html?g=2009000413&s=0&p=3

(抜粋引用はじめ)

 「小沢さんのもとに一致団結すれば、今回のことがあっても民主党は勝てるんだよ。 内部でガタガタしていると勝てるものも勝てなくなるよ。だから小宮山さんはじめとした数名の小沢さん批判をしている人、静かに民主党を出て行ってくれ!!」

 「 私が思うに、自民党と麻生首相ははっきり言って、民主党に戦いを挑んでいるのです。民主党を昔の野党が経験したと同じように再起不能にしたいのです。今度の小沢さんの件は、その昔、社会党の浅沼委員長が演壇で命を絶たれたのと同じぐらいのインパクトのある事件です」

 「個人的に小沢さんを好きか嫌いかと問われれば嫌いですと答えると思います。そんな私でさえも100歩譲ってやはりここは小沢さんしか居ないでしょう!!(略)やっと、やっと悲願の政権交代が現実のものとなってきた矢先のこの出来事!素人目にも異常としか思えません。こんな大事な時、今こそ一致団結しなければならない
まさにこの時に、小宮山さん!!それはないでしょう(泣)(略)あなたのその様な態度を喜んで陰でほくそ笑んでいるのが誰かはお解りのはずです」

 「弾圧者に尻尾を振る政治家はいらない。 この事件は総選挙目前の状況下、政権奪取は確実に思えた野党指導者を失脚させるべく検察が言いがかりに等しい恣意的な捜査をして、その公設秘書を強引に逮捕・起訴するという政治弾圧事件であり、議会制民主主義の根幹を踏みにじる暴挙です。(略) あなたが今すべきことは、苦しくともこの国策捜査の不当性を訴え、このような暴挙を許さない世論を盛り上げていくことでしょう。それを目先の事しか考えす、あろうことか弾圧者に尻尾を振りその謀略に加担するような事をする。そんな政治家は必要ない。とっととバッヂを外して引退すべきでしょう」

 「私まだ若者ですけど、小沢一郎さんは総理大臣になるべきだし。あなたはやめるべきだなあって思います。だって小沢さんってマジ若者の間でもリスペクトされてるし、なんか世論からずれてません?小宮山さん?。小沢さんがいなければ私が党首にでもなれるとか思っちゃった?そんなのマジありえねーっす!(激爆)。小沢さんが悪いことしてるっつーなら証拠だしてくださーい。ないんだ?ないんでしょ?。次期総理は小沢さんに確定ですね!」(抜粋引用おわり)

 などなど。かなり手厳しいですねえ。

 私もかなり驚いています。正直な感想を言うと、よく分かっているなあ、正論ばかりだなあ、という感じです。

 小宮山さんは凌雲会に所属。民主党代表をめざす、凌雲会会長の仙谷由人さん(徳島1区)の年齢が63歳で、「できれば早く仕掛けたい」という事情からの発言だと思います。小宮山さん本人の意思での“援護射撃”だったのか、仙谷会長の指示だったのか、凌雲会が会合などで役回りを決めていたのかは分かりません。凌雲会は仙谷会長の両脇を固める事務局長(会計責任者)の枝野幸男さん(埼玉5区)前原誠司さん(京都1区)らが現在の役員会メンバーから外れています。この3人が同時に小沢代表を攻撃していますので、これは凌雲会の総意でしょう。ところで、凌雲会会員名簿がネット上に出回っていますが、仙谷さんは四国で唯一小選挙区を全勝しており、「逆転の夏」で四国4県全勝をもぎ取った“四国のドン”です。四国各県選出の1回生議員は凌雲会に入らないわけにはいかない、という事情があることを私たちは共有しておきたいと思います。

 小宮山さんのお父さんは元東大総長で、小宮山さんはNHKにアナウンサーとして入社し、解説委員に昇進。参院議員全国比例から、衆院議員に転じ、現在はネクスト文部科学大臣。

 東京6区(世田谷区の北半分)は、日本で一番「社長」が多く住む高級住宅地です。大企業に限定すると、300選挙区で断トツになります。この選挙区で初当選した岩國哲人さん(国替え、次期衆院選に出馬せず引退)は初当選のときに、「この選挙区の得票は3倍に化ける」と話し、影響力の強い主権者が多い特徴を説明していました。小宮山さんが仮に日常活動をしっかりやっていたとすると、他の選挙区とは違った反応を感じていた可能性もあります。

 抗議電話殺到は辛かったでしょうが、小宮山洋子さんとスタッフ、総支部員のみなさんにとっては与党になるレッスンでした。私は小宮山洋子事務所とはまったく面識がなく、いきなり電話しましたが、政策秘書がていねいに回答してくれました。最後に「いつもブログを拝見しております。今後ともご指導ください」と言われました。私もしっかりと背筋を伸ばして前進していこうと思っています(^_^)v

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岡田卓也さん「ウチの息子はかたいんだよな」 小沢一郎幹事長乗り込み事件の真相も明かす

2012年01月01日 00時00分00秒 | 岡田克也、旅の途中

 おめでとうございます。

 今週月曜日(2011年10月24日)、早稲田大学の鎌田薫総長や同大出身の政財界有志による「稲門杉原千畝顕彰会」(とうもんすぎはらちうねけんしょうかい)が、「日本のシンドラー」こと杉原千畝さんの没後25周年を記念するレリーフを、早稲田大学キャンパス14号館前の広場に設置しました。ここは教育学部があり、杉原さんは、早大高等師範部第一部英語科予科というところに通ったことがあるそうです。

 この席には、早稲田大学卒業生で、前早稲田大学商議員会議長の岡田卓也・イオン創業者(名誉会長)が出席。

 卓也さんが会場に着くと、すでに政界のお歴々が来賓席に居並んでいました。それを目にした卓也さんは腰をかがめながら、「いやあ、うちの息子はかたいんだよなあ」とぼやきながら登場。商人らしい腰の低さと、のっけからの「与党第一党幹事長のオヤジ」アピールに、渡部恒三元通商産業大臣がやおら立ち上がり、「昔は『ジャスコは地元の会津に出店しないでくれ』と言っていたが、今では『イオンは会津に出店してくれ』とお願いするようになった」と最大級の賛辞をおくりました。

 恒三さんの機転で雰囲気が和らぎ、卓也さんが自民党時代の小沢一郎幹事長が四日市に乗り込んできたエピソードを披露。

 次男・克也さんが第39回衆院選の準備をしていると、旧三重1区(5人区)の自民党公認3候補のうち、川崎二郎さん、北川正恭さんに遅れをとっていると分析した小沢幹事長が四日市に乗り込んできて、「これは角栄流選挙をやるしかないな」と発言。さらには、「金のワラジを編むしかない」とアドバイス。それを聞いて、当時はバブル期でしたから、「いったいいくらお金がかかるんだろう」と戦々恐々としていたところ、「金のワラジを編むしかない」とは「あいさつ回りを徹底するしかない」という意味で、言われたとおり、ていねいに回り、初出馬・初当選につながったとしました。

 これについて、岡田克也さんは『政権交代』の31ページに次のように書いています。

 [引用はじめ]

 初めて立候補した頃、当時自民党の幹事長だった小沢一郎さんから、ともかく歩け、との助言を受けた。私は即、実行に移した。
 「個人宅を毎日何十軒、何百軒も訪問するのは大変でしょう」と言われることがよくあったが、じつはとても楽しかった。
 初当選前の活動では、差し出した名刺を目の前で破られたこともあった。しかしそれはまれで、衆議院議員選挙の候補者本人に自宅を訪問されていやな気持ちになる人は少ない。むしろ、概ねは歓迎される。地元の路地をくまなく歩いて地域の現状を知ることもできる。そもそも歩くことは体によい。つまり精神衛生上も、身体健康上も非常にいい。

 訪問を重ねるうちに必要に迫られて、さまざまなノウハウが身につく。会話のテクニックもその一つだろう。まず、玄関に入ったら何か一つほめるポイントを見つけること。生け花だったり、置物だったり。お母さんの足にしがみついてこちらを見つめる子どもだったり。一言ほめることで、そのあとの会話がスムーズになる。一軒あたり数分間の勝負なのだ。

 選挙運動を始めてから地盤がおおむね固まる当選2回までの間に、通算すると5万軒、いや7万軒は訪ね歩いたのではないだろうか。

[引用おわり]

 このように「金のワラジ」について書いており、「元祖・小沢チルドレン」ぶりを披露しています。

    
[画像]早稲田学報のインタビューに答える岡田卓也さん(左、中央)と、岡田卓也さんと岡田3兄弟(元也さん、克也さん、昌也さん)=右、「日経新聞私の履歴書」から。

 
[写真]母校・早稲田大学商学部(11号館)にできた「岡田アトリウム(吹き抜け)」のプレート除幕式に出席した岡田卓也さん=早稲田学報。


[写真]民主党議員らと気さくにまじわる岡田ファミリー。岡田卓也・イオン創業者(中央)と左から藤田大助(三重5区比例)、芝博一(参院三重)、森本哲生(三重4区)、金森正(比例単独東海=四日市地元)、金子恵美(参院福島)の各民主党議員=左。

 
[写真]岡田元也・イオン株式会社代表執行役社長(中央)と森本哲生・民主党衆院議員(三重4区、農水政務官)ら=右。ともに、森本哲生さんのブログから。

 
【公明党が幹事長代理に富田茂之さんを昇格】

 ところで、野田佳彦首相や、岡田克也民主党最高顧問と新進党時代から仲がよい、富田茂之さんがきのう(2011年10月27日)の公明党中央幹事会で、幹事長代理に昇格しました。粋な計らいです。公明党幹事長室は、井上義久幹事長、斉藤鉄夫幹事長代行、そして、幹事長代理に高木陽介さん、富田茂之さん、参院から木庭健太郎(こば・けんたろう、コバケン)さんという布陣になりました。最近、野田首相は10月から公邸なんかに住み始めたのがいけないのですが、顔色が悪くなっており、富田さんと話がしたいようです。

   
[写真]日本を前に進めるエンジン、左から野田佳彦首相、富田茂之・公明党幹事長代理、岡田克也・民主党最高顧問の「新進党」トリオ。


早稲田キャンパスに杉原千畝レリーフを設置|プレスリリース|早稲田大学

 「日本のシンドラー」と称される早稲田大学校友の故杉原千畝氏の没後25周年を記念して、杉原千畝レリーフを早稲田キャンパス14号館前の広場に設置しました。

 10月24日には、鎌田薫総長、稲門の政界・経済界の有志が中心となり設立した「稲門杉原千畝顕彰会」の方々、杉原家ご親族、「NPO法人 杉原千畝命のビザ」の方々、イスラエルの民間防衛大臣そしてイスラエル大使館・ポーランド共和国大使館・リトアニア共和国大使館の方々などが出席し、除幕式を行いました。

 杉原氏は1918年に早稲田大学高等師範部第一部英語科予科に入学。翌1919年に外務省の官費留学生に採用・日露協会学校に留学したため本学を中退し、外交官となりました。第二次世界大戦の際にはリトアニアのカウナス領事館に赴任。ナチス・ドイツの迫害によりポーランド等欧州各地から逃れてきた難民の窮状に心を痛め、外務省からの指示に反して日本通過ビザを発給し、6,000人にものぼる人々を救いました。

 このたび設置したレリーフは、「稲門杉原千畝顕彰会」から寄贈いただきました。レリーフに刻まれた「外交官としてではなく人間として当然の正しい決断をした」という杉原氏の言葉は、今後も後輩である学生たちに受け継がれていきます。

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平成24年、2012年あけましておめでとうございます。

2012年01月01日 00時00分00秒 | その他


 平成24年、2012年あけましておめでとうございます。

 (といっても、予約投稿なので、まだ紅白も始まっていない時間に書いていますが・・・)

 旧年中は当ブログへのご理解とご協力ありがとうございました。

 例年に増して、日本人、日本国民であることに誇りと喜びを感じる年明けです。

 ことしはアメリカ、中国、ロシア、台湾、韓国など各国で大統領選挙が行われます。

 わが国のデモクラシーと政府のリーダーシップの安定性が試されます。それは解散総選挙をしないということではなく、解散総選挙しても安定した社会・国家の姿を見せることです。

 1992年の宮澤内閣の第16回参議院通常選挙は、東京サミットのさいちゅうでした。このとき、整然とした日本の選挙戦に関心を持った人も多少いたようです。ただ、第16回参院選は「景気回復!自民党」ということで、与党が景気回復を訴えて、勝ったという世界的に稀な選挙でした。現政権のせいで景気が悪くなった、と考え、景気低迷期には野党ないし新人大統領候補が勝ちやすいのが世界の趨勢でした。最近では、わが国の国民もようやく、そういった判断の選択肢を得ることができるようになりました。

 ことしも「
今後の政治日程by下町の太陽」で解散総選挙に向けた情報もお伝えしていきます。

 どうぞ平成24年、2012年、辰年もよろしくお願いします。


[お知らせ①]

 会員制ブログを設けております。

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[お知らせ②]

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