ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

恒三さんは衆院議員をやめないでほしい 福島4区 

2012年02月20日 16時30分00秒 | 第46回衆院選(2012年12月)大惨敗


 民主党最高顧問の渡部恒三さんが2012年2月18日(土)の会津若松ワシントンホテルでの後援会新年会で「若い政治家を育てることを考えてほしい。いい政治家が見つかればいつでも辞める」と述べ、引退の意向を示唆したものだと報じられています。福島民報の取材には「任期は全うするが、来年の新年会までには若い人を見つけたい」と応えたようです。後援会としては、ニューヨークのコロンビア大学ジェラルド・カーチス研究室で古川元久・国家戦略大臣、小泉進次郎自民党青年局長と同窓で、歯科医でもある渡部恒雄・東京財団上席研究員を後継者としたいのでしょうが、私は恒三さんに衆院議員を続けて欲しいと思います。恒三さんは福島4区だけの政治家ではありません。

 恒三さんは早稲田大学大学院政治学研究科で二大政党制を研究。その後、「20歳代で県議、30歳代で国会議員、40歳代で大臣、50歳代で総理」を合言葉に出馬。20代から40代までは公約を達成し、憲政史上最長の衆議院副議長となりました。連続当選14回ですが、実は辛い経験もされています。その点の経緯もあり、引退示唆になったのかもしれませんが、例えば比例東北ブロック単独第1位になってもらうなどして、民主党の重しとなってほしいと考えます。尾崎行雄・衆議院名誉議員は、95歳まで現職でした。

 第45期衆議院の任期は来年8月29日まで。

 恒三さんはアメリカの有名なケネディさん(ロバート・ケネディ)と対面したこともあり、誰からともなく「会津のケネディ」と呼ばれています。日本のバブル期には通商産業大臣として、アメリカの通商代表、カーラ・ヒルズ女史と会津磐梯で4極通商会談に臨み、恒三さんの後援会の「歓迎ヒルズさん」の横断幕を見て、「コーゾー、私はあなたがうらやましい。私にはこのような故郷はない」と涙したと言われています。恒三さんのメッセージは年齢も、国籍も、大陸も超えます。

 渡部恒三衆議院副議長は「私の帰る家をつくってくれ」と叫びました。小沢一郎氏による新進党解党です。恒三さんは無所属を経て遅れて民主党に参加しました。これ以降、小選挙区で公明党推薦候補と対立することになったことも、不本意だったようです。

 自民党は福島4区支部長として前の会津若松市長の菅家一郎(かんけ・いちろう)さんを公認しています。この人は東京で見ましたが、かなり良い候補者です。

 恒三さんは政界風見鶏として発言がフラフラしているように思えるときがあります。しかし、「政権交代ある二大政党政治)を日本に定着させる」という政治信念ではただの一回もぶれたことがありません。今こそ人物の本質をしっかりと見極めなければいけません。民主党の礎、渡部恒三。長老がいなければ、政党は機能しません。

福島民報:福島県の新聞社:ニュース|トップニュース

 民主党最高顧問で衆院議員の渡部恒三氏(79)=本県4区=は18日、会津若松市の会津若松ワシントンホテルで開かれた新春の集いで「若い政治家を育てることを考えてほしい。いい政治家が見つかればいつでも辞める」と述べ、今任期限りで一線を退く考えを示した。既に後援会幹部には次期衆院選に立候補しない意向を伝えたもようだ。
 
 渡部氏は新春の集いで「これからの会津を背負う若い政治家を育てないといけない。会津を託せる30代、40代の若い政治家を探してほしい」と語った。5月に80歳になることから高齢が理由の一つとみられる。福島民報社の取材に対し「任期は全うするが、来年の新年会(新春の集い)までには若い人を見つけたい」とも述べた。
 
 ただ、渡部氏は年内の衆院解散はないとみており、早期に衆院が解散した場合には再度立候補することへの含みも持たせた。

 渡部氏は南会津町出身。会津高、早稲田大第一文学部卒。県議を二期務めた後、昭和44年の衆院選で旧本県2区から立候補して初当選。以降14回連続当選している。

 昭和58年に厚生相として初入閣を果たし、自治相・国家公安委員長、通商産業相を歴任。衆院副議長も務めた。平成5年には自民党から新生党に移り、二大政党制の実現を目指した。超党派国会議員の日韓議員連盟会長などを務める。
 
 民主党の重鎮として野田佳彦首相の誕生などに関わり、「政界のご意見番」として、中央政界でも影響力がある。

【写真】新春の集いで「若い政治家を育てたい」と述べる渡部氏

[お知らせ①]

 「国会傍聴取材支援基金」を設けました。

 本音の国会傍聴記をブログで伝えていきます。
 詳細は、次のリンク先でお読みいただけます。

 「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い

 どうぞご協力ください。

[お知らせ②]

 会員制ブログを設けております。

 今後の政治日程 by 下町の太陽・宮崎信行

 月840円(税込み)となります。最初の1ヶ月は無料で試し読みできます。「レジまぐ」のシステムで提供しています。
 クレジット払いのほか、「ポイント」を購入して、そのポイントを充ててお読みいただけます。
 こちらも活動資金になりますので、ぜひご協力下さい。

[お知らせおわり]

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小沢グループよ、岡田をうつなら俺をうて

2012年02月20日 10時11分34秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

 「掃溜の草も弥生のけしきかな」(はきだめの くさもやよいの けしきかな)。

 内藤鳴雪。

 「掃き溜め」といっても小沢グループのことではありません。

 天皇陛下が2012年2月18日、東京文京区本郷の東大病院で心臓バイパス手術を受けられました。皇室医務主管によると、「生活の質を向上するための手術」だそうです。2週間ほどご入院なさるようです。弥生3月とは、「いやおひ」という大和言葉から派生したそうです。「弥生」とは「多くの草木が生い出る時候」という意味です。

 昨年から、3月の意味が変わりました。3月上旬と、3月中旬では意味が違います。陛下も3月中旬からご公務に復帰されたいと思っていらっしゃるでしょうが、ぜひ、掃き溜めの草木が生い出るように、生活の質を向上されるように、リハビリでどんどん歩いて頂きたく存じます。

 東大病院からは、上野公園の不忍池がきれいに見えるそうですが、東大病院の道路1本隔てたところは、「文京区弥生」です。弥生にある東大農学部キャンパスから出土した土器が弥生式土器。言うまでもなく「弥生時代」の由来です。

 
[写真]道路の左側が東大農学部(文京区弥生)、手前は文京区立第六中学校(文京区向丘)=筆者撮影。

 狩猟民族だった大和民族は、ユーラシア大陸から稲を持って渡ってきた人のおかげで、定住生活をはじめ、ムラ、クニが生まれました。すなわち日本誕生です。稲によって文明を得た私たち。弥生時代の自治体のリーダーは一部は朝鮮半島から来た人ですが、大和民族もいます。陛下も百済への「ゆかり発言」をなさったことがあります。それは我が国の成り立ちにおいては些事です。弥生は、いわば日本誕生を発見した場所です。というわけで、鳴雪の「弥生のけしき」の弥生は3月という意味ですが、時間と空間の両方の意味を含めて、陛下には「弥生のけしき」に思いを馳せて頂きたい。生まれながらにして皇太子殿下でいらっしゃった陛下に、「公務をお控えください」というのは、かえって酷です。時間と空間のせわしない現代においてのご公務のあり方を本質的に考えるときです。

 【鳩山由紀夫氏が消費税増税に関して重大な事実誤認か】

 昭和63年12月30日、日本国憲法第7条により公布された法律が「消費税法」です。昭和はこの後、8日間あまりしかありませんでした。憲法第5条による摂政(摂政の宮さま)を置くことができますが、この法律は昭和天皇が皇太子殿下の国事臨時代行により公布された法律です。

 鳩山由紀夫さんは昭和61年1986年の衆参ダブル(死んだふり解散)の第38回総選挙で初当選し、連続8回当選しています。ここから7年間、経世会(自民党竹下派)の竹下系で活動します。総裁派閥として竹下内閣を支える上で、消費税法案の可決・成立をめざして「直間比率の是正」という言葉をくりかえしくりかえし会議で聞いて、聡明な鳩山先生のことですから、鸚鵡のようにくりかえしくりかえし「直間比率の是正のためにも消費税導入をお願いしたい」と選挙区で言っていたのではないでしょうか。

 一方、岡田克也さんは平成2年の1990年第39回総選挙で初当選。経世会(自民党竹下派)金丸・小沢系でしたが、消費税法が施行されてから初めて衆議院議員になっています。

 ここで、ぜひご紹介したいのが、2009年5月の民主党代表選。これは任期満了まで4ヶ月、実際の総選挙まで100日間というまさに「日本の総理大臣」を選ぶ選挙でした。


[画像]テレビ朝日さんニュース映像から。

[画像]テレビ朝日さんニュース映像から。

[画像]TBSさんニュース映像から。

 鳩山さんは「今日の格差社会の中で消費税アップの議論すらすべきでない」と発言しています。「現状は格差社会(経済)である」→だから「消費税アップについて議論すべきでない」というのが鳩山さんの論法です。

 公平を期すため、岡田さんの発言も見てみましょう。

 
[画像]中川正春さん(右)の司会で代表選の公約を述べる岡田克也さん、2009年5月。


[画像]TBSさんニュース映像から。

[画像]TBSさんニュース映像から。

[画像]TBSさんニュース映像から。

[画像]テレビ朝日さんニュース映像から。

 岡田さんは「年金制度を抜本改革する1階部分つまり基礎年金については今の保険料方式から税方式に変えるそのために将来消費税を3ポイント上げさせていただきたい」としています。これは先週金曜日の閣議で決定した「社会保障・税一体改革大綱」とまったく同じことを言っています。

 で、これは竹下内閣時代の議論を覚えている方は、この2人の認識が根本から違っていることに気付くでしょう。

 鳩山さんは、高所得者により多く課税される所得税などの直接税の負担を減らし、その代わりに所得階層に関係なく広く課税する消費税の増税は、「格差社会」では認められないという趣旨を言っています。すなわちこれは「直間比率の是正は格差社会では認められない」ということだと考えられます。つまり鳩山さんは直接税と間接税のバランスを考えていて、国庫の歳入の増減は念頭に置いていないのだと思います。

 岡田さんは「基礎年金を保険料方式から税方式に変えるための抜本改革の前提として、将来消費税を3ポイント上げさせていただきたい」としています。すなわち年金の最低保障機能を高めるための財源として8%にしたいと言っています。これは言うまでもなく、社会保障と税の一体改革であって、2014年4月に8%に上げるという段取りが「大綱」として閣議決定されています。

 ちなみに平成24年度予算案では国債整理基金特別会計の利払い費(手数料含む)は13・3兆円を見込んでいます。1年間で13・3兆円です。消費税の歳入は10・4兆円を見積もっています。ちなみに消費税5%のうち国庫に入るのは4%分です。すなわち消費税は累積800兆円の国債や政府短期証券・借入金の利払いだけですべて消えている計算になります。だから日本中の商店街が息詰まる重苦しい雰囲気になっているのです。そこを年金の最低保障機能の強化と、医療、介護、子育ての4経費に充てることと引き換えに消費税を増税するというのが今の構想です。

 つまり鳩山さんは昭和63年の財政構造・人口構造と平成24年の財政構造・人口構造の違いを認識していないのではないか。そうでなければ消費税増税反対などという結論が出てくることはゼッタイにあり得ません。政治家というのは時間による状況(シチュエーション)の変化によって言動をふらつかせるのが仕事です。だからこそ、ぶれないしっかりとした本質的な知恵が必要とされることは言うまでもありません。

 人口1億2000万人(うち高齢者は1400万人)で赤字公債残高060兆円(建設公債とあわせて150兆円)が昭和63年の日本です。
 人口1億2800万人(うち高齢者は2500万人)で赤字公債残高420兆円(建設公債とあわせて680兆円)が平成24年の日本です。

 この認識の違いが鳩山さんにはないのでしょう。おそらく鳩山さんは国会議員になってからの四半世紀、予算書を読んだことがないのだと考えます。

 公平を期すために、鳩山さんの推薦人と岡田さんの推薦人の一覧をつけます。

[資料]2009年5月の民主党代表選の結果。

民主党代表選 開票結果 鳩山由紀夫 124票 岡田克也 95票
http://www.eda-jp.com/dpj/2009/suisen.html

鳩山由紀夫候補の推薦人は次の通り。
衆議院
赤松広隆さん、石関貴史さん、太田 和美さん、北神圭朗さん、楠田大蔵さん、小平忠正さん、小宮山泰子さん、筒井信隆さん、仲野博子さん、原口一博さん、福田昭夫さん、松原仁さん、山口壯さん。
参議院
犬塚直史さん(第22回参院選で落選)、
植松恵美子さん、大久保潔重さん、加藤敏幸さん、川崎稔さん、行田邦子さん、小林正夫さん、谷岡郁子さん、広中和歌子さん(第22回参院選で落選)、藤田幸久さん、牧山弘恵さん、水岡俊一さん。

岡田克也候補の推薦人は次の通り。
衆議院
大串博志さん、小川淳也さん、川端達夫さん、菊田真紀子さん、高井美穂さん、田嶋要さん、長妻昭さん、鉢呂吉雄さん、平岡秀夫さん、藤村修さん、細川律夫さん、松本大輔さん。
参議院
足立信也さん、大河原雅子さん、岡崎トミ子さん、金子恵美さん、郡司彰さん、高橋千秋さん、徳永久志さん、中谷智司さん、長浜博行さん、藤本祐司さん、松浦大悟さん、松野信夫さん、水戸将史さん。

[資料終わり]

 2009マニフェストをよく読むと、現時点の消費税増税法案の提出は理論上可能です。藤井裕久さんはインデックスがどうしたとか面倒なことを言い出していますが、マニフェストには矛盾はしていません。ただ、2009マニフェストは、2010年7月11日の第22回参院選で有権者から否定されました。だから修正が必要であり、それが政治を国民の手に取り戻すことになります。

 子どものための手当の3党協議も先週から再開しました。ぜひ、責任ある野党、公明党、自民党の協力も得て、消費税増税法案の審議を電車道のようにばく進すべきです。後ろから鉄砲をうつような奴もいますが、前をのみ見てばく進あるのみ。小沢グループよ、岡田をうつなら、俺をうて。私が「松尾伝蔵」になります。

 さて、衆院予算委員会は一般的質疑の2巡目に入っています。そして、地方公聴会の設定に成功しました。後は、一般的質疑の回数を重ね、中央公聴会、分科会の設定です。そして、2月29日(水)に党首討論があるようですので、ここで3月2日(金)の予算衆院通過、年度内成立が見えてきました。一方、予算歳入関連法案はあす2月21日(火)に審議入りできるようです。時間はギリギリですが、あくまでも予算案と同日に本会議を通すのが基本であり、口うるさい参議院に対する礼儀だと考えます。いずれにしろ、自民党は平成24年度特例公債法案を「人質」にとるでしょうから、今通常国会内の解散は避けられません。それまでに少しでも多くの一般法案を通して欲しいと考えます。

[お知らせ①]

 「国会傍聴取材支援基金」を設けました。

 アクセス数を稼ぐためにいたずらに煽ったり、しがらみの少ない本音の国会傍聴記をブログで今度とも伝えいきたいと考えています。

 詳細は、次のリンク先でお読みいただけます。

 「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い

 どうぞご協力ください。

[お知らせ②]

 会員制ブログを設けております。

 今後の政治日程 by 下町の太陽・宮崎信行


 月840円(税込み)となります。最初の1ヶ月は無料で試し読みできます。「レジまぐ」のシステムで提供しています。

 クレジット払いのほか、「ポイント」を購入して、そのポイントを充ててお読みいただけます。

[お知らせおわり]

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする