衆議院財務金融委員会(海江田万里委員長)は2012年2月29日(水)、午後4時から会議を開きました。衆院予算委員会の本予算審査の一般的質疑4巡目、両院合同の党首討論の後です。安住淳・財務大臣の所信聴取に対する一般質疑(店開き)を終え、午後5時過ぎから、歳入関連法案の趣旨説明をしました。
審議入りしたのは「平成24年度の特例公債法案(第180閣法2号)」、「特別会計法改正案(第180閣法3号)」、「国税である租税特別措置法改正案(第180閣法8号)」の3案です。歳入関連法案(日切れ法案)の2月29日審議入りは衆参ねじれ昨年の通常国会よりは早いですが、例年なら採決していてもおかしくない時期。スピード感ある審議が求められます。
このうち、44兆円の赤字国債を発行する平成24年度特例公債法案。昨年の審議とマーケットの関連。「円ドルレート」という物差しを使えば、「1ドル79円台」だったのが、8月9日の3党合意で成立のメドが立つと、78円~75円台の円高(円が人気で買われている状態)が続きました。これが79円台に戻ったのはことし2月21日の日本銀行によるインフレターゲット導入直後です。震災後でありながら、円が買われたと言うことですが、仮にもっと成立が遅れていたらと考えると、ぞっとします。極めて影響が大きい法案です。
兵庫10区(加古川市、高砂市など)で自民党の渡海紀三朗さんと3度目の対決を控えている、民主党1期生の岡田康裕さんは、当選以来、財金委員です。今180通常国会から理事に。その思いを、ブログで、「衆議院財務金融委員会の理事(候補)の打診をいただきました。まだ委員会で正式にご承認いただかねばなりませんが。ありがたいことです。税制改正法案、公債特例法案、消費税法案など主戦場になる委員会ですので、雑用から何でも走り回ってがんばりたいと思います」と書いています。この平成24年度特例公債法案については、先行きを考えれば考えるほど、人によっては吐き気がしたり、あるいは胃が痛くなったり、下痢したり、いずれにしろ胃腸に来るでしょう。私はある民主党長老に「先生、政治家は鈍感さも必要ですね」と質問したら、「違うよ、鈍感さを装うんだよ」と教えてもらいました。ホントウかな、という気もしますが、議会政治は与野党、衆参とも相手があるものです。だから、もなんとかなるものです。それに、1期目の3度目の通常国会で、国対から財金委理事に抜擢された充実感をかみしめれば、まあなんとかなるもんです。私はことしも、しっかりと財金委を見ていきたいと考えます。精神力の王様、頼れるアニキ、安住純さんが大臣ですから、何も恐れることはありません。次回は、3月2日(金)の午前9時から委員会を開くとのこと。同日は、予算委が中央公聴会なので、財務大臣の体が空きます。財金委の定例日は水曜日ですが、金曜日にも審議を設定できている。自民党の山本幸三理事らの良識を感じます。
ところで、暫定予算ですが、私は4月1日から5月20日までの50日間で組んだらいいと考えます。
さて、2月28日(火)の衆院予算委の本予算審査の一般的質疑3巡目では、内閣府特命担当大臣(防災、男女共同参画、少子化、新しい公共)の中川正春さんが急遽、質問通告を受けて、飛んでくる出来事がありました。これは自民党シャドウ厚労副大臣の阿部俊子さんの質問での出来事。阿部さんは「きょう午前中の記者会見で、中川大臣から、交付国債を取り下げることも与野党での話し合いによってあり得ると発言しました」とし、「内閣の統一見解を示して欲しい」と財務大臣や予算委員長に要請しました。息せき切らしながら第1委員室に飛び込んできた中川さんは「舌足らずをお詫びしたい。与野党の話し合いの中でいろいろな選択肢があるという意味です」と答弁し、所管外でもあり発言を撤回しました。政治家らしい態度だと感じました。
ただ、中川さんが息せき切らせて走っていた頃なので、本人は気付いていないでしょうが、阿部さんは「中川大臣の発言は筋の通った発言だ」と発言しています。私もそう思います。平成24年度本予算(案)の基礎年金の2分の1国庫負担のために年金交付国債を2・5兆円発行することに、「国民年金法改正案(第180閣法26号)」、「消費増税準備法案(未提出)」の3議案に横串しが刺さってしまっています。報道などは違いますが、私は自民党はその横串を嫌がっているのだと考えています。本予算が衆参予算委、国民年金法改正案が衆院厚労委、特例公債法案と消費増税準備法案が衆院財金委と、戦線が分離してしまい、野党は攻めにくくなります。だから、年金交付国債を取り下げ、赤字国債にすれば、国民年金法は内閣撤回となり、あとの議案は別々に採決できます。中川正春さんは昨年第177通常国会の衆・予算委筆頭理事で、衆参ねじれ後にただ一人の本予算の“現場監督”として仕上げた人です。その責任感から、アドバルーンを上げたのであって、中川発言はむしろ、民主党を良い方向に持っていったと理解しています。そして、撤回した。そこが政治家らしい。
おそらく自民党の税制調査会幹部、いわゆるインナーのなかでは、予算案、国民年金法改正案、特例公債法案、消費増税準備法案をどさくさまぎれに一括採決してしまうという作戦に賛成してくれる人もいるのではないでしょうか。だから、暫定予算は50日間組んで、一気呵成に成立させてしまうという作戦もあり得ると考えます。
なお、安住さんは2月28日の予算委では「交付国債は戦前から認められていた制度で、(自民党・公明党が言う)“粉飾”という言葉に当たらないことは長期政権を維持してきた自民党の先生ならご存じのはず」と答弁しました。中期財政フレームと国民の納得。どちらを優先するかの時代になってきました。自民党も中川発言を撤回させないで、年金交付国債を赤字国債に直す議員修正案を発議(ほつぎ)すればいいんですよ。
さて、2月29日の参議院本会議では、法案が4本通りました。4次補正関連の改正地方交付税法に続き、法律番号は平成24年第2号~第5号になると思います。皇太子殿下が天皇陛下の国事臨時代行として公布なさると思います。官報がどうなるか、楽しみです。
成立したのは、「国家公務員の給与改定および臨時特例(2年間で7・8%カット)法(第180衆法1号、民自公3党の衆・総務委理事提出)」、「改正国会議員の秘書の給与(人事院勧告にもとづき0・23%カット)法(第180衆法2号、衆・議運委員長提出)」と「改正裁判官報酬法(第177閣法79号)」、「改正検察官俸給法(第177閣法80号)」の4つです。すべて民自公の賛成。ただ、この採決で、参議院自民党から京都選挙区で世襲の西田昌司さん、大分選挙区の礒崎陽輔さん(昭和57年自治省)、全国比例の石井みどりさんが造反しました。私がかねてから指摘していたとおり、参議院自民党が存在意義を問われる中、バラバラのきりもみ状態にあることをうかがわせました。あまり報道されませんけど。
一方、野田佳彦首相としては2度目の党首討論(QT)がありました。自民党総裁でシャドウ首相の谷垣禎一さんは、迫力がありませんでした。前日に大島理森副総裁らと練習していたそうです。自民党の場合は、総裁周りの議員の発言力があるので、谷垣さんとしても「まとめ」をしてから終わらなければならなかったようです。時間切れで発言を制されながら、まとめをしましたが、後味の悪いものになりました。どうも、谷垣さんは奥さんを亡くされてから元気がないように思います。9月の総裁選に出馬しないのではないかとも感じます。お元気がないのでしたら、前倒し総裁選で、石原伸晃総裁ということで、次の総選挙を闘えば、二大政党政治らしい、活気あるやりとりが期待できそうに感じます。
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