宮崎信行の「新・夕刊フジ」

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

小沢グループが大活躍 検察官の給与法案、国家公務員給与7・8パーセント削減法案が衆院通過

2012年02月23日 13時00分47秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

【2012年2月23日(木) 衆院本会議】

 小沢グループの旧自由党元副党首、山岡賢次さんが衆参通じて勤続25年を迎えて、永年勤続表彰を受けました。山岡先生、おめでとうございます。

 これに先立つ、午前中の衆院総務委員会では、ゆうべ民主党の稲見哲男さん自民党の石田真敏さん公明党の稲津久さんら各党筆頭理事が提出した「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法案」(第180衆法1号)が議題となりました。稲見さんは当選2回。大阪維新の会でおなじみ橋下徹・大阪市長の天敵、大阪市職員労組の出身。いわゆる「小沢自治労」で、小沢グループ。稲見さんは委員会で、「法案提出は唐突だと言われますが、3党の修正協議に基づくものです」とていねいに説明しました。国家公務員給与7・8削減法案は第177通常国会の震災前に閣法として提出されていました。しかし、この中には、人事院を廃止し、内閣府公務員庁とその出先機関をつくるという「たこの八ちゃん」がひそんでいたため、仕上がりませんでした。

 ゆうべ3党協議が整い、法案が各委員に配られました。これについて、日本共産党の塩川鉄也委員は「密室談合の法案の上わずか半日の質疑」、社民党の重野安正さんも「各委員の手に法案が渡ったのはゆうべ。談合だ」と批判しました。

 そのうえで、きのう提出の衆法にきょう修正案が自民党と公明党2党により提出されました。これは法案に「附則12条 地方公務員の給与については自治体が判断する」という文言を追加するものです。結局、関連法案は、人事院廃止(当然、人勧も廃止)や、内閣府たこの八ちゃん条文が、自治労に限らず、おそらく総務省の人事・恩給局辺りの入れ知恵で入ったために、「国家公務員への労働協約締結の権利と義務の付与」という国際的に当然な本質的な手直しが先送りされてしまった格好です。震災後日本ではこのようなことは許されません。速やかな労働協約締結権を付与する法律を公布したうえで、返す刀で、総務省人事・恩給局や行政管理局や行政評価局など行革3局を切り込まねばいけない、と私は考えます。

 3党協議にともなう衆法には、東日本大震災で活躍した自衛官への配慮が盛り込まれました。

 さて、本会議場に戻ります。まず昨日の衆院法務委員会で可決した「検察官俸給法改正案」(第177閣法80号)と「裁判官報酬法改正案」(第177閣法79号)について、小沢グループの小林興起法務委員長が報告。この審議では、小沢グループの階猛さんが質問に立ちました。

 緊急上程された「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法案」は小沢グループの原口一博・総務委員長が報告しました。

〈公設秘書給与は0・23パーセント引き下げ、人事院勧告〉

 さらに、今年度人事院勧告の「平均0・23%引き下げ」の、国会議員公設秘書(特別職の国家公務員)の給与に反映する「国会議員の秘書の給与法の改正案」が緊急上程。趣旨の弁明に立ったのは、父の代から民社協会ながら小沢系でもある小平忠正・議院運営委員長で、「きょうの委員会で起草されたものだ」としました。それはそうと、衆院議員秘書に解散時に2ヶ月分の給与を支払うように法改正すべきだと私はかねがね思っていますが、これは実現しませんでした。

 このようにきょうの本会議は小沢グループづくしで、「独り立ち」が始まっている春の息吹を感じました。それぞれのタンポポの綿帽子は、小沢卒業により、自分の脚でしっかり立つ政治家になることを望みます。自立と共生です。

 これら4法案は、起立多数で可決し、参院に送られました。なお、きょう午後の参院法務委員会(委員長は公明党の西田実仁さん)、参院総務委員会(民主党の藤末健三委員長)で審議入りするようです。ドンドンスピードを上げないといけません。力のない議員は足手まとい。震災後日本では、かまっている余裕はありません。まあもともとそれが世界標準なんですが。

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◎全文公開、これが郵政民営化法改正案の公明党案だ 民自公実務者協議を経て、成立の見通し

2012年02月23日 10時47分18秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

 公明党の石井啓一政調会長は2012年2月22日、日本郵政株式会社グループの改革に関する独自の議員立法案を発表しました。これは、1年前の国会に提出された郵政改革関連法案(第177閣法1号|~3号)にかわり、現行の郵政民営化法を改正することで郵政改革を実現する法案です。第45期衆議院の自民党議員は逆風のなか、足腰の強い後援会活動で粘り勝ちしているため、第44回郵政選挙でも「郵政造反組」ながら当選した人が多い傾向があります。そのため、新法である郵政改革法案ではなく、現行法の「郵政民営化法」の改正には、ネガティブな議員が多いようです。しかし新法制定と旧法改正はテクニカルな面ではまったく同じことです。要は中味で、公明党案が自民党、民主党双方の実務者協議のカギとなりそうです。

 民主党1期生で「金融ボーイズ」の石川3区選出の近藤和也さんは2012年2月23日(木)の衆院予算委員会の集中審議「経済(円高・デフレ・第1次産業)」の中で、小学生のころ新聞配達で稼いだオカネを郵貯にしたら、大卒時に2倍になって野村證券社員になったエピソードを披露。近藤後援会は能登半島で全特(郵便局長会)とJP労組の合同集会を開き、おそらく全国初とされています。近藤さんはここ2,3日の与野党の先輩による郵政改革成立の機運に感謝し、ハッパをかけてから質問に入りました。

 公明党案は、全体的に、「ユニバーサルサービスである郵便事業をしっかり全国的に」という前島密の原点に返るという発想が滲み出ています。また「簡易郵便局長」を名乗ることができるようになります。儲けは薄くても、日本列島の津々浦々毛細血管まで、もう一度郵便ネットワークを張り巡らせましょう。ユニバーサルサービスをとことん極めましょう!

 当ブログが独自のルートで全文入手した「法案の概要」では、第1条を郵政民営化とは「株式会社に的確に郵便事業の経営を行わせるための改革」「ととらえ直すこととする」とし、小泉改革でのゆうちょ・かんぽ偏重から軌道修正。日本郵政(株)に2つぶら下がる郵便局会社と郵便事業会社のうち、郵便局(株)を存続し、「日本郵便(株)」に称号を変更し、郵便事業(株)を吸収合併します。そのうえで、政府は親会社である日本郵政(株)の株式の3分の1超を持つことで、外資の乗っ取りを阻止。「残余の株式をできる限り早期に処分する物とする」としており、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式は、おそらく政府に10兆円以上の税外収入をもたらすでしょう。まさに頼もしいばかりの孝行息子。

 そして、親会社「日本郵政(株)」と新会社「日本郵便(株)」は、郵便、ゆうちょ、かんぽの3事業の窓口業務を郵便局において一体的に提供します。また、「日本郵便(株)には、3事業を行う郵便局をあまねく全国に設置する義務を負う」としました。これは行きすぎた小泉郵政改革を一部元に戻すことであり、当時の政権政党だった公明党としては思いきったものですが、公明党だからこそ推進できる案です。公明党を支持する創価学会員は高齢化し、貧しい方が多い傾向があります。田舎の貧しい高齢者の方が郵便局で手紙を出し、貯金の出し入れをする。年金も引き出せる。かんぽは日本生命などでは加入が断られた方でも入れることがありますし、何かあったときは郵便局員が自宅に来て手続きをしてくれることもありました。あるいは、郵便を届けてくれた郵便配達夫に貯金をお願いすることもできます。そういう郵便局の良さが小泉自民党によって根絶やしにされました。しかし、時代は郵便局を必要としています。JAバンクの加入者がついに非農家が農家を上回りました。テレビでは「JAの医療共済」などのCMを見かけますが、それはJAの本来業務ではありません。前島密が郵便事業を始めたのは明治4年。いわば郵政とはすなわち明治維新だと言っても過言ではないでしょう。ガンバレ郵便局。儲けは薄くても、しっかりと毛細血管に血液を流しましょう。ポンプ・アンド・サーカムスタンスです!

 公明党の石井啓一政調会長が2012年2月22日(水)の記者会見で提示した「郵政民営化法等の一部を改正する等の法律案(議員立法)の概要の全文は次の通り。転載自由。なお、最終的に公布にいたるまでに若干の修正が入ると思われますので、各々でご確認下さい。

1.郵政民営化法の一部改正(第1条)

 ①目的 株式会社に的確に郵政事業の経営を行わせるための改革を郵政民営化ととらえ直すこととする。 
 ②郵便事業株式会社と郵便局株式会社の合併 郵便局株式会社を存続会社とし、商号を「日本郵便株式会社」に変更し、郵便事業株式会社を吸収合併する。
 ③日本郵政株式会社の株式 政府は、日本郵政株式会社の株式の3分の1超を、常時、保有するものとし、残余の株式をできる限り早期に処分するものとする。
 ④郵便貯金銀行・郵便保険会社の株式処分 日本郵政株式会社は、早期に、郵便貯金銀行・郵便保険会社の株式をできる限り多く処分するものとする。
 ⑤ユニバーサルサービス 日本郵政株式会社及び日本郵便株式会社は、郵便の業務及び貯金・保険の窓口業務を、郵便局において一体的に提供する義務を負う。また、日本郵便株式会社は、三事業を行う郵便局をあまねく全国に設置する義務を負う。
 ⑥日本郵便株式会社の上乗せ規制 日本郵便株式会社の任意業務については、現行の郵便局株式会社と同様の規制をかけるものとする。(届け出制とし、配慮義務及び民営化委員会への通知あり)
 ⑦郵便貯金銀行・郵便保険会社の上乗せ規制 郵便貯金銀行・郵便保険会社の新規業務及び預入限度額等に係る規制の内容は、現行どおりとする。(新規業務は、郵政民営化委員会の意見を聴取した上で、内閣総理大臣(金融庁)及び総務大臣が認可。預入限度額等は、政令で規定。)
 ⑧郵便貯金銀行・郵便保険会社の新規業務規制の緩和 日本郵政株式会社による郵便貯金銀行・郵便保険会社の総株式の2分の1以上の処分後、郵便貯金銀行・郵便保険会社の新規業務規制は届出制に緩和する。(配慮義務及び民営化委員会への通知あり)
 ⑨郵便貯金銀行及び郵便保険会社の上乗せ規制の解除 日本郵政株式会社による郵便貯金銀行・郵便保険会社の全株式の処分、又は、内閣総理大臣及び総務大臣の決定により、金融2社の新規業務規制及び限度額規制は解除する。
 ⑩郵政民営化推進本部(郵政民営化委員会を含む。)の設置期限 郵政民営化推進本部(郵政民営化委員会を含む。)は、郵便貯金銀行・郵便保険会社に係る上乗せ規制の解除の日以後の最初の3月31日(移行期間の末日)に廃止する。日本郵便株式会社に係る上乗せ規制のうち、配慮義務及び民営化委員会への通知は、本部の廃止にあわせて解除する。
 ⑪その他 郵政民営化委員会による3年ごとの郵政民営化の進捗状況の「総合的な「見直し」」を「総合的な「検証」」に改める。日本郵政株式会社及び日本郵便株式会社は、その経営の状況に関する情報を公表するものとする。

2.日本郵政株式会社法の一部改正(第2条)

 ①業務 日本郵政株式会社は必須業務として、日本郵便株式会社の経営管理を行う。(関連銀行・関連保険会社の株式保有及び株主としての権利の行使は、総務大臣の認可を受けて行う目的達成業務と位置づける)

 ②ユニバーサルサービス 郵便の業務及び貯金・保険の窓口業務を、郵便局において一体的に提供することを確保する責務を負う。
 ③日本郵便株式会社の株式 日本郵政株式会社は、常時、日本郵便株式会社の株式の総数を保有していなければならないものとする。
 ④社会・地域貢献基金 金融ユニバーサルサービスの責務を課すこと等から、資金に関する規定を削除する。
 ⑤業務の特例 当分の間、かんぽの宿等の運営及び管理の業務を行うことができる。

3.郵便局株式会社法の一部改正(→日本郵便株式会社法に題名改正)(第3条)

 ①業務 郵便の業務、銀行窓口業務及び保険窓口業務を必須業務とするほか、郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務を行うことができ、また、本来業務の遂行に支障のない範囲内で届出により任意業務を行うことができることとする。また、貯金・保険の民営化前の旧契約も、ユニバーサルサービスとして提供する。

 ②ユニバーサルサービス 郵便の業務及び貯金・保険の窓口業務を、郵便局において一体的に提供する責務を負う。また、三事業を行う郵便局をあまねく全国に設置する義務を負う。
 ③収支の状況 郵便・貯金・保険・その他の区分ごとに収支の状況を総務大臣に提供しなければならない。

4.独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部改正(第4条)

 貯金・保険の民営化前の旧契約の管理業務は、ユニバーサルサービスとして提供されるよう、常に日本郵便株式会社に窓口業務が再委託されるものとする。


5.関係法律の廃止(第5条)

 ①郵便事業株式会社法

 ②日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律(郵政株式処分凍結法)(公布の日に廃止)

6.関係法律の改正(附則)

 いわゆる簡易郵便局について定めた「郵便窓口業務の委託等に関する法律」について、題名を「簡易郵便局法」に改め、委託業務を行う施設を「簡易郵便局」とするほか、窓口業務受託者は「簡易郵便局長」と称することができる等の改正をする。このほか、27法を改正する。


7.施行期日

 公布の日から起算して1年以内で政令で定める日から施行する。ただし、1①(郵政民営化法の目的)等の基本方針、2⑤(かんぽの宿)及び5②(郵政株式処分凍結法の廃止)等は、公布の日から施行する。


 以上。

 

【関連エントリー】

内閣が郵政改革法案を撤回し、3党合意で郵政民営化法改正へ 全特、小選挙区で公明党支援も

2011年12月17日 13時14分29秒 | 第180通常国会(2012年1月)


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