[写真]平成24年度当初予算案の基本的質疑1日目、衆院予算委、2012年2月9日、首相官邸ホームページから。
【2012年2月9日(木) 衆院予算委員会】
さあいよいよ、来年度本予算(案)の審議がスタートです。国会がイチバン凛とした緊張感に包まれる1ヶ月弱が始まりました。
野田内閣初めての当初予算審議です。失敗は許されません。
野田内閣は、1月24日(火)の召集日に4次補正予算案と同時に来年度予算案を提出し、同日中に衆参本会議で、安住財務大臣が補正と当初予算を併せた財政演説をしていました。野田佳彦首相らの政府4演説の代表質問が終わった1月30日(月)の夕方に衆院予算委員会で、当初予算3案(平成24年度一般会計予算案、特別会計予算案、政府関係機関予算案」)の提案理由説明を済ませました。とはいえ、2月9日にスタートし、3月2日(金)までの衆院通過を考えると、例年以上にキツイ日程です。
委員長は昨年に続き、中井洽さん、与党側筆頭理事は鉢呂吉雄さん、次席理事は武正公一さん、自民党の筆頭理事は石破茂さん、次席は小池百合子さん、公明党理事は高木陽介幹事長代理。50人の会派構成は、
民主党・無所属クラブ(29、中井委員長除く)
自民党・無所属の会(12)
公明党(2)
日本共産党(1)
新党きづな(1)
社民党(1)
みんなの党(1)
国民新党(1)
新党大地・真民主(1)
です。
このうち、新しくできた「新党大地・真民主」は与党会派です。きょうのNHK入り基本的質疑1日目は、10分間の持ち時間を割り振られて、松木けんこうさんが質問に立ちました。新党大地・真民主は参議院で虎の子の2議席を持っていますから、くれぐれも軽視することがないようにしていただきたいものです。民主党(の一部議員)お得意の小馬鹿にした態度はゼッタイにいけません。
トップバッターは民主党政調会長の前原誠司さんでしたが、政調会長というよりも個人的な政策が多かったように思います。
参考人の白川方明(しらかわ・まさあき)日本銀行総裁は、「日銀は21・6兆円の大量の国債買い入れをしている」としました。特別会予算総則第5条の「日銀乗り換え」のことだと思いますが、白川さんはいつもに比べて自信がなさそうでした。来週月曜日と火曜日に日銀金融政策決定会合があります。インフレターゲット(物価誘導目標)の設定による金融の若干の緩和がある得るように感じました。
午前中は前原さんに続き、民主党の武正公一さん、国民新党幹事長の下地幹郎さん、新党大地・真民主の松木けんこうさん。
午後は自民党幹事長の石原伸晃さんから。「マニフェストの見直しは岡田さんが幹事長を辞めてから連絡がない」として、昨年8月9日の3党合意の「政策効果の検証」が必要だとしました。これが予算関連法案で、召集日(1月24日)提出済みの平成24年度の特例公債法案(第180閣法2号)の採決に応じるかけひきに使われることになりそうです。与党の農水部門、文科部門の議員は改めて3党合意を読み直すべきです。
加藤勝信さんは第45回衆院選では岡山5区で、民主党の花咲宏基さんと闘いましたが、次はコスタリカで村田吉隆さんが自民党公認で出ます。加藤さんは比例単独に回るので、時間的余裕もあるでしょうが、ていねいに予算書を読み込んだ質問をしました。
基礎年金の国庫負担分の財源として盛り込んだ「年金交付国債」の償還について。厚労大臣の小宮山洋子さんの答弁によると、2兆円で、利息の総額は4000億円くらいになる見積もりで、けっこうな額です。これは国民負担になりますが、加藤さんは、一般会計の予算総則に「地方公務員共済組合」が入っていないと指摘。総務大臣の川端達夫さんが認めました。加藤さんは「国民負担になるのに、地方公務員は恵まれている。民主党が連合(自治労、日教組、都市交、全水道)に応援されているからだ」という趣旨の批判をしました。
これについて、平成24年度一般会計予算総則を読んでみたら、次の第11条のことのようです。
[平成24年度一般会計予算(当初)から引用はじめ]
平成24 年度一般会計予算
予算総則
(歳入歳出予算)
第1 条平成24 年度歳入歳出予算は、歳入歳出それぞれ90,333,931,511 千円とし、「甲号歳入歳出予算」に掲げるとおりとする。
(略)
(国債の発行及び交付による基礎年金国庫負担等の差額相当額)
第11 条「国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律」による改正後の「国民年金法等の一部を改正する法律」(平成16 年法律第104 号)に基づ
く国債の発行及び交付により国庫が負担する平成24 年度における基礎年金の給付に要する費用等の2 分の1 に相当する額と3 分の1 に1,000 分の32 を加え
た率を乗じて得た額との差額に相当する額は、2,487,905,624 千円とする。
2 「国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律」による改正後の「国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律」(平成16 年法律第130 号)
に基づく国債の発行及び交付により国が負担する平成24 年度における基礎年金拠出金の納付に要する費用の2 分の1 に相当する額と3 分の1 に1,000 分の
32 を加えた率を乗じて得た額との差額に相当する額は、67,219,650 千円とする。
3 「国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律」による改正後の「私立学校教職員共済法等の一部を改正する法律」(平成16 年法律第131 号)
に基づく国債の発行及び交付により国が補助する平成24 年度における基礎年金拠出金の額の2 分の1 に相当する額と3 分の1 に1,000 分の32 を加えた率を
乗じて得た額との差額に相当する額は、29,040,839 千円とする。
[引用おわり]
これを読むと、年金交付国債の対象は、国民年金、国家公務員共済組合、私立学校教職員共済組合であって、加藤指摘のように、地方公務員共済組合は対象外のようです。ということは、税金で基礎年金をまかなう。ということは償還利息は、国民年金、国家公務員共済組合、私立学校教職員共済組合の負担となり、地方公務員共済組合は利息を負担しなくていいことになります。
これは納得がいかないところです。ぜひ、こういったところも、与野党問わず大胆な議員修正も含めて活発な議論を期待したいところです。
また、消費増税準備法案(3月提出)は予算関連法案であり、これがないと予算審議ができない、という変化球を投げ込みました。中井委員長も理事会で協議する方針を示しました。安住財務大臣がBSフジ番組で明かしたところでは、「大綱」ができてから内閣法制局の審査を経て法案化するまで1ヶ月かかりそう。ということは既に2月9日になっており、小沢グループがまとまらないほか、与野党協議が始まらない現状では、極めて厳しい日程となってしまっています。加藤さんは分かっていてかけひきで言っているわけですが、年金交付国債は消費税増税とセットです。3党合意の「2012年度以降の政策効果の検証」と「年金交付国債償還の裏付けとなる消費増税準備法案の提出」がことしの特例公債法案人質の口実となりそうです。最終的には公明党の動き次第ですが、野田内閣がとるべき道は、退陣ではなく解散であることは言うまでもありません。
自民党はこの後、赤澤亮正さん、稲田朋美さんの「小泉チルドレン生き残り小選挙区勝ち上がりコンビ」の猛者が登場。
赤澤さんがあす(2012年2月10日)発足の「復興庁」について、本部を東京ではなく、仙台に置くべきだと強調。そのうえで、併任辞令だと「(出先機関である)復興局には、(東京での)仕事が忙しくなったり、(地元で)吊し上げを食ったらイヤになって行かなくなりますよ」として常駐職員を増やすように要望すると、東日本大震災復興担当大臣の平野達男さんが「つるし上げを食ったら行かなくなるような人はいませんよ」と気色ばむという、政治家同士らしい頼もしい答弁がありました。
稲田さんが、最低保障年金で、民主党の2009年マニフェストは「(保険料が)タダで最低保障年金を7万円と思っている人が多い」と批判すると、税・社会保障一体改革担当大臣の岡田克也さんが「きょうはNHKの生中継も入っている。まったく委員の言っていることは事実と反します。訂正してください」と強い口調で諭し、稲田さんがやや弱いトーンになる場面がありました。
いずれにしろ、きょうから予算審議が始まったわけです。衆院予算審議中に解散された例は現行憲法下1度もありません。第15回国会中の1953年3月14日には参院で予算審議中にもかかわらず、第4次吉田茂内閣が解散しています。これは与党内鳩山グループの裏切りによる、内閣不信任案可決に対抗して日本国憲法69条の規定に基づき解散しました。世に言うバカヤロー解散です。名称のため、実態を誤解している方が多いです。あるいは、鳩山グループがバカヤロウだったのかもしれません。鳩山グループに加担した広川弘禅議員ら半数の議員が落選。広川は農相まで出世したのにこれで政治生命を事実上絶たれ、鳩山一郎、三木武吉、河野一郎らは少数で復党しました。
きょうは鹿野道彦農相に関するスキャンダル狙いの質問が自民党から出て、鹿野さんが浮ついた言動をしてしまいました。ぜひ緊張感を持って臨みたいものです。国会日程がキツイ場合は、意外と与党にはうまく行くことがあります。政府外議員や衆院予算委員以外の衆参議員は、本会議はないのですから、地元に居るべきです。きょうのNHK中継では、だいたいそこに居ていい議員が多かったですが、応援傍聴も含めて「あれこの人ここに居ていいのかな?」という人も見かけました。またおととしの第174通常国会の衆院内閣委員会の不正常採決や、会期末間際の「樽床首相候補擁立」のようなことが起きると、ホントウに取り返しがつきません。こういうことをしていた人は震災後は誰からも相手にされない状況になっています。これはいじめ体質ではなく、国益・国民益に前向きな人からすれば後ろを振り向く余裕がないからであり、振り向く必要もありません。緊張感が必要です。しっかりと気を引き締めていきましょう。
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