[写真]菜種油で動くトラクターを運転する岡田克也さんと田島一成衆院議員、2004年、滋賀県で、民主党ホームページから。
規制・制度改革特別委員会(内閣府の行政刷新会議内に設置)は2012年6月8日(金)午後6時から農業ワーキングチームの第1回会合を開きました。これに先立つ午後3時前から開かれた定例記者会見で岡田克也副総理は「(JAで)一番伸びているのは葬儀屋だ」とし、JAが農業協同組合法などに基づく本来業務から離れた仕事が多いとの認識を示しました。
岡田さんは①農地転用②農業委員会③JAの監査ーーの3つが大きな議題とし、「既に閣議決定された事項についてまず議論をし、それを超える議論については今後検討する」とし、有識者の議論を聞きながら、行政刷新会議事務局の仕分け力を活用して法令を洗い直す考えを示しました。
「優良農地は安易に(宅地への)転用を認めない。これは規制の強化ですね」「農地(耕作放棄地)を流動化・大規模化し、企業や農業生産法人が借りやすく(して農家が賃料収入を得られる)仕組みをつくっていく」としました。
「何が何でも農協がやっているものを問題とは思わない」としたうえで、「(JAバンクが)他の金融業と異なる扱いを受けている分野については見直す」と述べました。
そのうえで、「基本は閣議決定の枠の中」 としました。
後継者のいない高齢農家が田畑をあきらめるとしても、宅地転用してアパートを建てるとなると、JAから住宅ローンを受けることになります。それよりは、田畑を他人に耕してもらって、毎月賃料収入を得る方が本人、農業生産法人、ご先祖の三方一両得。さらには国のため。
JAは三度の飯(メシ)より金(カネ)が好き。
農機具を数軒の農家で、JA融資で購入しているケースもあります。いろいろなしがらみでがんじがらめとなっており、「平成の農地解放」「平成の農民分権」は待ったなしの土壇場です。
抵抗がありますが、農家の人は晴耕雨読のオピニオン・リーダが多いですから、行政刷新会議のホームページを活用して意見を政府に届けてください。子孫に美田を残す。そのためには、農地のまま農業生産法人に貸し出し、賃料を得ながら余生を暮らす。米などでしたら最終年の直接支払い(農業者戸別所得補償)は農業者ではない生活への準備にあてても、法律上まったく問題ありません。まさに農民分権です。
こちらをごらんください。
[画像]農業者戸別所得補償交付申請書の様式3号「口座の届け出」、農林水産省ホームページから。
直接支払いを受ける口座の届け出。ここには、「金融機関(ゆうちょ銀行以外」と「ゆうちょ銀行」のいずれかを選ぶことができます。さらに「金融機関(ゆうちょ銀行以外」でも、農業協同組合、銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、信連、農林中金の順に選択肢があります。この選択肢の自由化。これが民主党の直接支払いがめざしたものの象徴です。
農業者戸別所得補償を「ソ連のコルホーズ、ソフホーズのような共産・社会主義的政策だ」という批判が的はずれだったのが分かります。むしろ、これこそ、新しい自由主義(やさしい自由主義)の象徴といえるでしょう。アメリカでは、farmer(農場主)と農夫との上下関係が厳しく、これを題材にして『怒りの葡萄』『ハツカネズミと人間』を書いたスタインベックは、『エデンの東』とあわせてノーベル文学賞を受賞しています。「アメリカ型の新しい自由主義」の影響を強く受けているとされる岡田さんが「日本型のやさしい自由主義」に改良して、取り組むのが今回の規制改革です。
記者会見で、当ブログが「JAは、医療共済など本業とは違う業務が増えている」と指摘すると、岡田さんはこう答えました。
「(JAの事業で売り上げが)イチバン伸びているのは葬儀屋だよ!」
人間にはだれでも天寿があります。自分の足腰はあきらめても、田畑をあきらめない。日本をあきらめない。
国は生き続ける。
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